シンガー・ソングライターの尾崎豊さんが26歳で早世して、あすで27年。1983年のデビュー後、学校や社会の抑圧に抵抗するシンボルとして、熱狂的な支持を集めた。代表作「卒業」の「夜の校舎/窓ガラス壊してまわった」という歌詞が有名だ

▼当時は中学、高校の校内暴力が社会問題だった。実際に窓ガラスが割られ、生徒は盗んだバイクで学校に乗り付けた。平成になり過激な暴力は下火になったが、尾崎さんの曲は支持され続け、魅力の多面性を示している

▼第一興商が昨年末に「平成カラオケランキング」を発表した。1位は一青窈(ひととよう)さんの「ハナミズキ」。2位以下も平成の作品が並ぶが、トップ10に二つだけ昭和の曲がある

▼石川さゆりさんの「天城越え」(4位)、尾崎さんの「I LOVE YOU」(9位)。反逆性や暴力的要素と無縁のバラードが歌い継がれており、興味深い

▼「ひとつに重なり生きてゆく恋を/夢見て傷つくだけの2人だよ」。ラブソングに甘さだけでなく、孤独や希望、諦めにも似た心境を織り交ぜる。人の心奥で交錯する、名状しがたい感情の奔流を可視化する感性が、普遍的な魅力なのだろう

▼17歳の尾崎さんがつくったこの歌を、これまで約50組のアーティストがカバーしている。早熟の天才が残した作品群は、時を経ても輝き続けている。(吉田央)