元米海兵隊員の軍属の男が、沖縄県うるま市在住で当時20歳の女性会社員を暴行して殺害したとされる日から28日で3年がたつ。殺人罪などに問われたシンザト・ケネス・フランクリン受刑者は、昨年10月に無期懲役が確定した。当時捜査を指揮した県警元幹部は「初期の自供がなければ捜査は難航していたかもしれない」と振り返る。(社会部・城間陽介)

水路で遺留品を捜索する県警の捜査員=2016年5月24日、うるま市州崎

 2016年4月29日午後、休日で離島にいた元幹部は携帯電話で女性の行方不明を知らされた。「これは通常の失踪ではない」。事件性を疑ったのは、女性がいつも通りウオーキングに出掛け、それを交際相手にも伝えていたためだ。女性が自宅近くのスーパーで日用品の買い物をしていたことも、後に確認された。

 5月1日には、県警本部刑事部の捜査員半数に当たる約150人に情報収集を命じた。女性のスマートフォンの位置情報が途絶えた周辺の防犯カメラを調べ上げ、行方不明となった時間帯に付近を通過した車両262台を特定。所有者一人一人に捜査員が聴取した。

 捜索願の提出から2週間が過ぎた5月16日。Yナンバーを所有する男の挙動が捜査員の目に留まった。「自宅を訪ねると、ちょうどテレビで女性が行方不明とのニュースが流れていた。『その件で』と話し掛けると、男の顔がみるみる青ざめたんだ」(元幹部)。任意提出を求めた携帯電話を調べると、女性の名前が映ったスマホ画面の接写画像も保存されていた。

 翌17日、男は大量の睡眠薬やアルコールを摂取して自殺を図った。回復を待って任意同行を求めると、供述通り恩納村の山中から女性の遺体が発見され、緊急逮捕した。凶器となった金属製の棒が捨てられた場所も、供述と一致した。

 一方、フランクリン受刑者は逮捕後に完全黙秘に転じる。初期の供述がなければ、十分な証拠を集められない恐れもあった。

 捜査日数にして63日間、関わった捜査員は延べ3392人。元幹部は「救えなかったのは悔しい。犯人を検挙し全容解明をすることが、せめてもの弔いだった」と語った。