吉本興業が、NTTや官民ファンドのクールジャパン機構などと連携し、教育コンテンツの制作・配信会社「ラフ&ピース マザー」を那覇市に共同設立すると発表した。「遊びと教育」をテーマに、最先端の技術を使ったオリジナル動画やゲームなどを開発し、国内外に発信する。大﨑洋会長に、今後の展望や沖縄への思いなどを聞いた。(政経部・川野百合子)

インタビューに答える吉本興業の大﨑洋会長=那覇市内

 -沖縄で新規事業を立ち上げる経緯や思いは。

 「国からのお金がなくても、完全に自立した沖縄にしたいという思いがある。沖縄は伝統文化も大事にしながら、新しい芸能が生まれる島。歌って踊る、スポーツやダンスに優れた身体的特性のある人も多くいる。沖縄全体をエンタメ産業の創出の場にしたい」

 「米国のネットフリックスやアマゾンなどがシェアを広げる中、それに負けない国産の映像配信プラットフォームを作る。コンテンツは、デジタル技術を活用し子どもたちの創造力を育てるワークショップなどを手掛ける『CANVAS(キャンバス)』などと開発していく」

 -これまでも、映画祭や専門学校立ち上げなど、沖縄で事業を展開してきた。

 「40年前、初めて沖縄を訪れた時には、まだ原風景が残っていた。まさか国際通りにレッドカーペットを引いて映画祭を開けるようになるなんて夢にも思っていなかった。でも、いろいろな出会いがあり助けを借りて夢をかなえることができた。沖縄の子どもたちにも、それぞれのペースでいいが、世界で羽ばたいてほしいという思いがある」

 「昨年は『沖縄ラフ&ピース専門学校』もつくった。マンガやCG、アニメ制作や演技や演出など、専門的知識・技術が学べる。映画祭も発表の場として、リアルなプラットフォームとしての役割がある。新会社は配信のプラットフォームでオンラインの場。5Gや新たな技術革新が進む中、オンラインとリアルを相互に作用させながら、専門的な技術や知識をもった沖縄の子どもや若者を一緒に育てていきたい」

 -新会社が扱う子ども向けの教育の分野は初めてとなる。

 「吉本興業は創業107年になるが、元々は勉強嫌いな子や貧乏な子を集めて、漫才を学んでもらい劇場に出て稼いでもらう、ということをやってきた。どんな子でも自己表現、クリエーティブ表現をすることで、自己実現ができて食べていけると感じている。沖縄でも同様なことができるのではないか。島全体で子どもたちや若者の才能を引き出していきたい」

 おおさき・ひろし 1953年生まれ、大阪府出身。78年、吉本興業入社。2001年、取締役に就任後、専務や副社長などを経て、09年に代表取締役社長、19年から現職。11年3月から「美ら島沖縄大使」に就任。18年には、県の観光事業に貢献した観光功労者として表彰された。