平成の沖縄スポーツ界に続々と誕生したプロ球団。勝利を後押しするコアファンの中には、チームアイテムをおしゃれに着こなした女性たちの姿も目立つ。バスケットボールの琉球ゴールデンキングス、サッカーのFC琉球、卓球の琉球アスティーダに加え、プロ化を目指して奮闘するハンドボールの琉球コラソン。地元愛にあふれ、令和の時代も選手と共に夢を追う「琉球女子」たちが呼び掛ける。「あなたも一緒にハマりませんか」(学芸部・新垣綾子、伊禮由紀子)

FC琉球サポーターの安里和音さん。ベンガラ色のユニホームをおしゃれに着こなす=4月21日、北中城村内

キングスが勝利したレギュラーシーズン最終戦の後、キングスマスコットのゴーディーと抱き合って喜ぶ赤嶺香織さん=4月21日、沖縄市体育館

キングスに大きな声援を送るブースター=2018年5月、千葉県・船橋アリーナ(金城健太撮影)

アスティーダ愛を語り、「観戦に行こう」と呼び掛ける若尾美希子さん=4月25日、沖縄市内

コラソンの試合を撮影するために始めたカメラを手に笑顔をみせる山田結子さん=4月22日、豊見城市内

琉球4球団の歩み

FC琉球サポーターの安里和音さん。ベンガラ色のユニホームをおしゃれに着こなす=4月21日、北中城村内 キングスが勝利したレギュラーシーズン最終戦の後、キングスマスコットのゴーディーと抱き合って喜ぶ赤嶺香織さん=4月21日、沖縄市体育館 キングスに大きな声援を送るブースター=2018年5月、千葉県・船橋アリーナ(金城健太撮影)
アスティーダ愛を語り、「観戦に行こう」と呼び掛ける若尾美希子さん=4月25日、沖縄市内 コラソンの試合を撮影するために始めたカメラを手に笑顔をみせる山田結子さん=4月22日、豊見城市内 琉球4球団の歩み

「一生懸命 かっこいい」

キングス 赤嶺さん

 国内男子プロバスケットボールのbjリーグ時代からBリーグにかけ約10年、ホーム戦のシーズンシートを持つパワフルな琉球ゴールデンキングスブースターの一人。南風原町の小学校教諭赤嶺香織さんの姿はたいてい、ビッグマンたちの妙技やベンチワークの空気感を間近で味わえる、キングスベンチそばの最前列にある。

 特に応援に熱を入れてきた選手は、キングスに2016年まで6季在籍し、引退した小菅(こすげ)直人さん。「こっすーの引退後は絶叫することが減り、落ち着いて観戦できている。大人になりました」と笑う。注目は岸本隆一、並里成(なりと)、金城茂之の県出身3選手。親しみを込め「りゅういち」「なーりー」「しーげー」の愛称で呼ぶ。

 167センチの高身長で、自らも中学校、高校とバスケ部。プレーヤーとして、競技の奥深さを知るからこそ「小柄ななーりーが、壁のような外国人選手相手に果敢に立ち向かう姿は単純にすごい。人知れず努力してきたことが、自信と誇りを持ったプレーにつながっている」と力を込める。選手を思い浮かべながら、教え子たちにはこう伝える。「一生懸命はかっこいい。自分のやりたいことに妥協しないで」

 「みんなと一緒に喜んだり、悔しがったり。全てを忘れさせてくれる夢の世界」。一体感があり、ハーフタイム中のショーなどエンターテインメント性も高いキングスの試合には、目が離せない魅力がある。

 20年の東京五輪出場が決まり、レベルの底上げを図る日本のバスケ界。bjリーグで最多4度の優勝を誇り、Bリーグでも頂点を目指すキングスへ「泥臭くても絶対に諦めないバスケを貫いてほしい。なーりーのトリッキーなハッスルプレーにも期待」と熱いまなざしを向け続ける。

生の感動を分かち合う

FC琉球 安里さん

 競技経験も生の観戦歴もなかった北中城村の安里和音(かずね)さんが、サッカーに目覚めたきっかけは2017年に国頭村であったJリーグ1部FC東京のキャンプ。県外に住む友人が東京サポーターだった縁で訪れた際、日本代表級の選手のプレーに「迫力があり、ドリブルに華があった」と感動した。

 当初は東京に注目していたが「地元のチームを応援しない手はない」と決意。その年の4月、FC琉球のホーム戦に足を運ぶとブラウブリッツ秋田を相手に1−6の大敗だった。「秋田のプレーしか印象にない」というほろ苦い初観戦となったが、自身に「グッズを買うのは、琉球の勝利を生で見届けた日だけ」とルールを課し「コーナーキックの時、サポーターみんなで振り回すタオルが欲しくて。勝つまではもう、意地でした」。

 細かな戦術は独自で学び、アウェー戦もスポーツ専門の動画配信サービスで欠かさずチェックする。イチ押しは17〜19年に在籍し、母親が沖縄市出身の中川風希(かざき)選手で「相手のタイミングを外すマイナスのパスにきゅんときた。美しいフォーメーションを作り出すポジショニングが魅力」とすっかりマニア目線だ。

 事務職の傍ら、ベリーダンスの講師やショーダンサーの顔も持つ。「野球の満塁ホームランのような逆転劇はないが、一つ一つセオリー通りの型を積み重ねて、セオリーを超えていくところがダンスにも通じる。中川選手は移籍したが、変わらず応援していく」

 今季J2に初参戦した琉球。1段階上を目指すには、実力だけでなく競技場の規模や集客力など数々の高いハードルがあり「生でしか味わえない感動を分かち合い、諦めずに走り続ける選手を後押しする女性サポーターをもっと増やしたい」と熱く語る。

世界レベル沖縄で

アスティーダ 若尾さん

 琉球アスティーダにほれ込むのは、NPO法人こころひまわり(沖縄市)で子育て支援などに取り組む若尾美希子さん(39)。100円ショップをはしごして調達した50本ものメガホンを会場で配ったり、応援フレーズ集を手作りしてファンの一体感を生んだりと熱狂的だ。

 「オリンピックに出るようなトップ選手のプレーを惜しみなく見られる環境が沖縄にあることに感動した。特に子どもたちには“本物”を体感してほしい」

 アスティーダが参戦する卓球のプロリーグ「Tリーグ」には張本智和、丹羽孝希選手ら国内外から世界ランキング20位以内の選手も参加する。「敵も味方も含めて繰り出す技が芸術的。世界大会を沖縄で見るようなもの」と熱く語る。

 自身も中学・高校は卓球部で、全国大会にも出場した。一方、「九州大会までは戦えても、全国は自分が見たことのないレベルだった」と力の差を痛感したという。経験を振り返りながら「知らない」ことや環境の違いで、可能性が埋もれている沖縄の子どもたちは多いのではと感じた。

 昨年秋に早川周作代表の講話を聞く機会があり「沖縄から世界へ。スポーツで地域を活性化する」という理念に心打たれた。以来、ホーム戦は誰よりも早く会場入りして応援に力を入れる。

 至近距離の観客席からは、苦しさや喜びなど選手の表情を間近で感じられる。「一流選手の姿を通して子どもたちが感動し、希望を持つことができたら。多くの人が観戦に来てほしい」と願い、声援を送る。「ゴーゴー アスティーダ」

「まるで家族」

コラソン 山田さん

 中学、高校と吹奏楽部でハンドボールとは無縁だったという保育士の山田結子さん(27)=豊見城市=が琉球コラソンと出合ったのは約2年半前。知人に誘われて「スタジオコラソン」という毎週開催の一般向けトレーニングに参加した。体幹トレーニングやシュートの練習など初心者には少々スパルタなメニューに戸惑いつつ、選手と一緒に体を動かすことで距離がぐっと近づいた。

 「参加するたびに筋肉痛だったけど、ファンになるきっかけになった」。それからは、シーズンパスでホーム戦は全試合を観戦。選手の活躍を写真に収めようと、一眼レフを購入してカメラも始めた。感謝祭では、選手とファンがフラフープ対決やイス取りゲームで交流するなど「まるで友達や家族のような近さ」が魅力だ。

 注目は、浦添市出身の村山裕次選手。「安定したプレーで、7メートルスローも強い」と太鼓判を押す。ファン投票でも2年連続1位に輝き、チームを引っ張るベテランだ。

 日本リーグに参戦するコラソンは、昨シーズン球団初の最下位に屈したが、1点差で負ける惜しい試合も多かった。一方で、ホーム8試合の観客数は1万27人でリーグ1位。「コラソンのファミリア(ファン)はたくさんいる。来シーズンに期待したい」とエールを送った。

球団 女性ファン獲得へ汗

 球団側も女性ファンへのPRに懸命だ。未開拓だった女性層の取り込みは、観客動員やグッズ売り上げを押し上げ、経営力の強化にもつながるからだ。

 サッカーのFC琉球はJリーグ3部(J3)に参戦した2014年に1398人だったホーム戦平均入場者数が、18年には3146人に増加。J2に昇格した今季は、ホーム戦無敗のJリーグ新記録がかかった4月に7913人の動員を記録した。次期社長の三上昴取締役(事業統括)は、ユニホームやタオル、帽子などのグッズ売り上げが急増したと手応えを得つつ「女性サポーターはまだまだ少なく、サッカー以外の魅力でスタジアムに足を運ぶきっかけをつくることが課題だ」と先を見据える。

 他球団の先行事例などを参考に、まずは試合の間、子どもたちが遊べるキッズスペースを5月のホーム戦から設置。子育て中の女性たちにも安心して観戦してもらうため、保育士養成の専門学校と連携するという。「多彩な料理が楽しめるフードフェアと組み合わせた企画や、選手と直接触れ合えるファンイベントの充実にも力を入れていきたい」と話す。