本部町山里の「円すいカルスト」に咲くテッポウユリが見頃を迎えている。ゴツゴツした鋭い岩肌の自然の彫刻に、約7万本15万輪のユリが映える景色には独特の趣がある

▼2億年以上前に海中に堆積したサンゴ礁が隆起し、長い年月をかけて、雨水で石灰岩が溶けてできたのが円すいカルストだ。亜熱帯から熱帯の高温多湿な気候条件の地域で見られるこの地形は、国内唯一とされる

▼かつて、採石の鉱業権を取得していた民間企業が、この岩山を切り崩す話があった。「静かな里を守る」「貴重な景観を守る」と、山里や周辺地域の住民が土地利用を制限する国定公園を目指して立ち上がり、採石場計画を断念させた歴史がある

▼住民の運動は、自然保護と活用の計画も合わせて推進することで町や県を動かし、2006年に国定公園に指定された。人々の結束で守り抜かれた地域資源は今、住民主体のまちづくりに生かされている

▼3日に開催される「第7回もとぶカルスト山ゆり祭り」もその一つだ。子どもも大人も楽しめる手作りの祭りには、地域の誇りと守り抜いた環境を次世代へつなげようとする住民の気概が感じられる

▼真っ白なユリと甘い香りに包まれた円すいカルストを散策すれば、悠久の時の流れと地域の魅力を満喫できるはず。花見の期間は5月中旬まで。(吉川毅)