社説

社説[憲法と地位協定]生活視点で問い直しを

2019年5月3日 08:45

 日本国憲法が施行されてからきょうで72年になる。

 米国の施政権下にあった復帰前の沖縄に、憲法は適用されなかった。「本土並み」になったのは施政権が返還された1972年5月15日以降のことである。

 「憲法が凍結された社会」が、どのような社会なのか、体験のない若い世代には想像しにくいかもしれない。

 自治や人権など憲法にうたわれたさまざまな権利をどのように獲得していくかが、当時の大きな課題だった。

 65年4月、立法院は5月3日を憲法記念日とする「住民の祝祭日に関する立法」の改正案を全会一致で可決した。「憲法のわが沖縄への適用を期す」との願望を込めて。

 その年の9月、沖縄の住民は、日本への渡航拒否に対する損害賠償と、沖縄在住被爆者への医療費支給を求め、国を相手取って、東京地裁に違憲訴訟を起こしている。

 判決前に施政権返還が実現し、訴えは取り下げられたが、講和条約に基づく沖縄統治の理不尽さに対し、住民はさまざまな形で権利のための闘いを組織した。

 施政権返還によって憲法と同時に、日米安保条約と地位協定が適用された。政府はこれを「本土並み」だとアピールしたが、米軍基地が集中する社会に、地位協定が適用されると、どういうことになるか。復帰から47年。

 憲法や国内法で定められた権利は、米軍の特権などを定めた地位協定や関連取り決めによって侵食され、虫くい状態である。

    ■    ■

 沖縄返還協定の調印の際、当時の屋良朝苗主席は「本土並みといっても沖縄の基地は規模と密度と機能が違う」と指摘し、形式的な本土並み論に強い不満を表明した。

 沖縄の過重負担という基本的な構図は、あの時から変わっていない。

 ただ、米軍再編と日米一体化が進んだことによって、地位協定を巡る問題は、いっきに全国に飛び火した。

 オスプレイは県外での訓練の途中、各地に緊急着陸するようになった。米軍横田基地(東京)の周辺空域は、今も米軍が管制権を握っており、日本の航空機は自由に飛ぶことができない。その異常さに多くの都民が気付くようになった。

 全国知事会は昨年8月、地位協定の抜本的な見直しを日米両政府に提言した。

 作家の高村薫さんら有識者でつくる「世界平和アピール七人委員会」も4月、抜本的改定を求めるアピール文を発表した。

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 憲法記念日というと、決まったように「護憲派」と「改憲派」の主張が紹介され、9条改憲を巡る安倍政権の動きが取り上げられる。

 だが、9条改憲以上に、生活に根ざした、優先して取り組むべき課題は多い。

 共同通信社が3月に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三首相の下での憲法改正に51・4%が反対、賛成は33・9%にとどまった。

 沖縄にとって切実なのは地位協定の抜本的な改定である。9条改憲よりも国内法の原則適用を急ぐべきだ。

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