沖縄県内の非行少年らを調査した社会学者、打越正行さんの著書『ヤンキーと地元』の発売を記念したトークイベントが4月24日、八重瀬町のくじらブックス&Zou Cafeで開かれた。対談ゲストに非行少女らの問題を研究する琉球大学教授の上間陽子さんを迎え、調査の裏話や見えてきた課題などを語った。

トークイベントで対談する打越正行さん(左から2人目)と上間陽子さん(左)=4月24日、八重瀬町・くじらブックス&Zou Cafe

 打越さんは、「ヤンキー」と呼ばれる少年たちの「パシリ(使い走り)」となって10年間、彼らと一緒に過ごして調査した。

 彼らの多くが景気に左右されやすい建築業界で働いていることを挙げ、「調査していた時は景気が悪くて暴力があった。建築業界に安定的に仕事があるという環境が続けば、場の質は変わる」と指摘。

 上間さんも「彼らが働いている職場の環境ともリンクしていると思う。男の人が家族や大事な場所をつくり、その中で尊敬を得ながら、暴力の必要がまったくない中で安心して暮らしていける状態をつくりきれるかどうかの問題でもある」と語った。

 建築業界にある強烈な上下関係に関して、打越さんは「特有の産業構造や歴史があるため、会社がつぶれないような環境をつくらざるを得なかった」と分析。「建築業界の雇用が安定するのが一番の対策」と説明した。

 打越さんは、「読んだ後に『別世界の人の話だ』とか『こういう世界の人と関わらないようにしよう』など、読者と彼らとの心理的距離が遠くなってしまうものを絶対に書きたくなかった。『この方たちの一つ一つの行為や言葉が理解できる』という感想をもらい、書いて良かったなと思った」と語った。

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