◆沖縄県歯科医師会コラム「歯の長寿学」(277)

イラスト・いらすとや

 プロバイオティクスとは「腸管内に乳酸菌を送り込んで良好な腸内マイクロバイオームを作る戦略」と定義されています。マイクロバイオームとは私たちの腸管、口腔(こうくう)、皮膚などや生活する場所に住み着く細菌を含む微生物の集団のこと。プロバイオティクスに使われる乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)やビフィズス菌は数え切れないほどの種類や菌株があります。細菌には多くの善玉菌、悪玉菌が存在します。特に口腔内細菌と腸内細菌は、その仕組みが類似しています。

 今、善玉菌である乳酸桿菌のロイテリ菌が歯科でも注目されています。口腔ケアに機械的除去(歯ブラシ、デンタルフロス等)と共にロイテリ菌を用いることにより、歯肉炎の改善、歯周炎の改善、むし歯菌の抑制が可能、口臭予防に有効と報告されています。口腔内固有の細菌は、外部から入り込んでくる細菌を攻撃し簡単に定着を許しません。つまりロイテリ菌を単に口腔内に送り込んでも、定着させることは容易ではありません。生菌が億単位で含まれるロイテリ菌タブレットをなめてもその直後から口腔内のロイテリ菌は徐々に減っていきます。ロイテリ菌の使用をストップすると1週間後にはほとんど検出されなくなってしまいます。大事なのは毎日、使い続けることです。ロイテリ菌は、食中毒を起こす腸管出血性大腸菌やリステリア菌などに対しても抗菌性があります。ロイテリ菌の常用は、フレイル状態の高齢者の口腔カンジダ症を抑える効果がある報告もあります。

 乳酸桿菌などによるプロバイオティクス戦略の最大の魅力は使い続けても副作用が全くないことです。善玉菌を腸内マイクロバイオームに送り続けることで免疫系の活性化をもたらし、口腔慢性感染症の予防につながります。

 口腔ケアの基本は、ブラッシング、つまり正しい歯みがきです。歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを使い、歯のまわりの細菌をそげ落としましょう。さらに乳酸菌も取り入れてみてはどうでしょうか。(渡慶次彰 とけし歯科クリニック 沖縄市)