社説

社説[後半国会と参院選]転換点になる可能性が…

2019年5月9日 08:25

 通常国会は大型連休明けの今週から後半の論戦に入った。会期は6月26日まで。政府与党は、夏の参院選を意識し、対決法案の提出を見合わせる考えだ。

 今年は、春の統一地方選と夏の参院選が重なる12年に1度の「亥年(いどし)選挙」の年にあたる。

 自民党は12年前、2007年の参院選で大敗した。「ねじれ国会」となった揚げ句、退陣に追い込まれたあの時の経験を「片時たりとも忘れたことがない」と安倍晋三首相は言う。

 政府自民党はいち早く選挙対策に取り組み、参院選に有利な環境をつくり出すためさまざまな手を打ってきた。

 国会論戦は参院選を意識したものとなり、論戦のテーマが参院選に持ち込まれ、争点になるはずだ。論ずべき大きなテーマは、10月に予定されている消費増税の扱いと、憲法改正問題である。

 消費増税について政府与党は「リーマンショック級の出来事がない限り、予定通り消費税率を引き上げる」との見解を崩していない。

 だが、安倍首相には、消費増税の延期を理由に、衆院を解散したり、参院選直前に再び増税延期に踏み切るなどの「前科」がある。

 その上、側近の萩生田光一幹事長代行が「延期もあり得る」とあけすけに発言したこともあって、臆測が乱れ飛ぶ事態となった。

 首相の本気度が問われる局面だ。増税先送りを口実にした解散を断行すれば、国内外で首相の信用が失われるのは間違いない。

    ■    ■

 野党側は「今の経済情勢では増税できない」という増税延期論が大勢を占める。

 税率引き上げか先送りか。後半国会における突っ込んだ論戦を期待したい。

 安倍首相は憲法記念日の3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、改正憲法の20年施行について「今もその気持ちに変わりはない」と述べた。

 憲法99条によって憲法尊重擁護義務を負っている首相が、改正の時期を明言して改正を呼びかけることに強い違和感を覚える。

 参院選で自民党を含む改憲派が発議に必要な3分の2超の議席を確保すれば、自民党は間違いなく「20年施行」に向けて動き出すだろう。

 憲法改正問題が参院選の大きな争点になるのは確実である。後半国会でも9条改憲について突っ込んだ議論を求めたい。たとえ話だけの、宣伝につられ、なんとなくの空気で、憲法が改正される-それが一番危ない。

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 日米地位協定の改定や辺野古埋め立ても、避けて通れない課題である。行政協定を引き継いだ地位協定は米軍優位の不平等な内容が今も残っており、そのために沖縄の自治は大きな制約を受けている。

 この状況を放置して改憲を進め辺野古の新基地建設を強行するのは、沖縄の犠牲を前提にした安全保障政策を固定化することになりかねない。

 丁寧な議論を通して論点を整理し、対立軸を国民に分かりやすく提示することが、与野党双方に求められる。

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