ミュージシャン、宮沢和史のコンサートが4月29日、沖縄市のミュージックタウン音市場であった。沖縄での単独ライブは2016年以来3年ぶり。デビュー30年の節目のステージは、平成の終わりと重なった。沖縄音楽の新たな道筋を開いた「島唄」から、新作の「梅花藻」まで新旧織り交ぜた選曲がなされ、時間の流れと曲の持つ意味をかみしめるように歌った。(学芸部・天久仁)

ギターを三線に持ち替えて「島唄」を歌う宮沢和史=沖縄市・ミュージックタウン音市場

 16年に体調不良で無期限の休業を決めた宮沢。17年に歌手活動を再開後、昨年11月にツアー「時を泳げ魚の如く」をスタートし、ゆったりしたペースで全国を巡っている。ボーカリストとして関わったTHE BOOMやGANGA ZUMBAの各グループやソロ活動を含めた歌手活動を振り返りながら、復活に手応えを感じている。

 沖縄でのライブはアコースティックギター1本を手に、「30年くらい前に道ばたで演奏した曲」(宮沢)だという「不思議なパワー」の弾き語りで始まった。ロックのはじけたリズムを抑えたシンプルなアレンジは、デビュー当時を思い出しているかのよう。

 「3年前は引退したつもりだった」と振り返りながら「もう一度やっていく体力、精神力が湧き起こってきた」と歌う喜びを表現した宮沢。ピアノの伴奏に合わせた「からたち野道」、バンドを加えた「風になりたい」はともに優しい雰囲気で会場を包んだ。

 ギターを三線に持ち替えると「長い間、この島にいるなあ」と感慨深げ。「この歌を書いていなかったら、ここにいる人と会っていなかった」との言葉に続けた「島唄」の力を振り絞る歌声には、沖縄の音楽への熱い思いと感謝の気持ちが込められた。

 国内外のライブで必ず歌ってきたという「真夏の奇蹟」をはじめ、後半はダンサブルな楽曲で飛ばした。新アルバム「留まらざること 川の如く」収録の「梅花藻」は新たな門出を後押しする内容の歌。しっとりとした曲に乗った力強い声に、今後の活動への意欲を込めた。

 アンコールの拍手に応えて「沖縄への思いは衰えていない」と強調した宮沢。沖縄芸能の発展を願いながら「(自分に)何ができるか、自問しながら活動していきたい」と誓い、軽快な「シンカヌチャー」でライブを締めくくった。