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心に突き刺さる写真 「辺野古」狙い撃ちか <ドローン目隠し法案3>

2019年5月12日 08:56

 小学生の投書が、昨年12月19日付の京都新聞に載った。名護市辺野古の新基地建設に向け、埋め立て土砂の投入が始まった5日後。「土砂の茶色い汚れが海に広がる写真が、新聞にのっていた。これも地球を汚す環境はかいだと思った」「京都府の知事さんもぜったい反対してください」

辺野古の護岸工事現場から流出する濁った水。沖縄ドローンプロジェクトが撮影した=2月(提供)

 この前後、現場の空撮映像が全国のメディアで報じられていた。特に小型無人機ドローンはヘリに比べて費用が安いため頻繁に、しかも低空から対象に迫って撮影できる。

 全国メディアの記者は「ドローンの写真は泥の広がり、海の透明度まで表現する。何が問題か、直感的に分かるし、心に突き刺さる」と話す。直後の各社世論調査では新基地建設反対が多数を占め、内閣支持率も下がった。

 政府が神経をとがらせるもう一つの要因は、米軍の強い要望にある。2017年11月、ハリス太平洋軍司令官が小野寺五典防衛相にドローン対策を直接要請した。当時は飛行を禁じる法的根拠がなく、政府は「お願い」のポスターを作ってキャンプ・シュワブのフェンスやウェブサイトに掲示するしかなかった。

 満を持して立案された今回のドローン規制法改正案は、米軍の訓練水域や空域を飛行禁止の対象に含める。自衛隊の水域や空域は含めない。そして、辺野古の現場は米軍の広大な訓練水域の中にある。

 「辺野古を狙い撃ちにしている」。改正案の内容を知るドローン産業やメディアの関係者は口をそろえる。防衛省の担当者は「実際に水域を指定するかどうかは今後の話」と言葉を濁す。

■    ■

 辺野古で「知る権利」を行使するのはメディアだけではない。新基地建設に反対する市民団体「沖縄ドローンプロジェクト」も工事を監視する。汚濁防止膜の設置不備が原因で濁った水が流出する写真を何度も撮っている。

 土木技術者の奥間政則さん(53)が経験を生かし、分析担当責任者を務める。「環境破壊をいくら口頭で追及しても、国は逃げる。写真が決定的な証拠になる」と語る。

 今後、大浦湾側で必要になる地盤改良やしゅんせつの工事ではさらに大量の土砂が巻き上がり、深刻な濁りが発生する。サンゴなど生物への影響も予想される。「そうなる前に、私たちの『目』をつぶそうとしている」と、奥間さんは危機感を募らせる。

 今後も撮影を続けるため対策弁護団を結成し、全国の弁護士に参加を呼び掛けている。(編集委員・阿部岳

 ワンポイント解説 米軍の訓練水域と空域を飛行禁止対象に含め、自衛隊は含めない理由について、防衛省は「米側の要請というより、日本側の判断」と説明している。

>>ドローン目隠し法案(1)米軍、権限なく空撮を規制 基地の動向把握が困難に
>>ドローン目隠し法案(2)撮影中の記者に「警察呼んでいます」 拡大解釈の恐れも 

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