与那原町の住宅街の中に、コンクリート柱が9本残されている。戦前の沖縄県営鉄道(軽便鉄道)の与那原駅舎の柱だ

▼戦前、沖縄にも鉄道が走っていた。那覇と与那原を結ぶ路線で1914年に開業。のちに嘉手納線、糸満線もできた。貨客輸送の要として利用されたが、沖縄戦で破壊された。戦後、米軍の統治下に置かれた沖縄は、そのまま車社会へと入っていく

▼2003年に那覇市には沖縄都市モノレールが開業。今年10月ごろに浦添市へと延伸され、車両3両化の検討も進む。しかし現在、交通の基幹となる鉄道はない

▼与那原駅舎は県営鉄道初の鉄筋コンクリート造り。沖縄戦で砲撃を受けたが、柱や骨組み、壁などは戦後も利用され、一時は町役場にもなった。同町は鉄道の史実を伝えようと、14年度に駅舎を復元し展示資料館としてオープン。柱は当時のままの場所で、戦前の趣を伝えている

▼県は全国で唯一、鉄道がないため、鉄軌道を含む新たな公共交通システムの導入を目指す。戦前は県営鉄道が貨客輸送を担い、沖縄戦で破壊されたことを考えると、国はより積極的に沖縄の鉄軌道に取り組む必要があるのではないか

▼南国で味わう鉄道の旅情。窓から見える青い海。実現されたのちには、県民生活の向上に加え、沖縄の新たな魅力となることは間違いない。(内間健)