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[大弦小弦]警察官から「機密文書」を受け取った直後…

2019年5月13日 07:35

 警察官から「機密文書」を受け取った直後、ロイター通信のミャンマー人記者2人は逮捕された。ミャンマーの裁判で元警官が「わなだった」と証言したが、実刑判決が確定した

▼2人は国軍による少数民族ロヒンギャの虐殺疑惑を取材していた。むき出しの報道弾圧である。国際社会の批判が高まり、経済制裁が検討されるに至って、ミャンマー政府は7日、2人を釈放した

▼恩赦を便利に使った。多数派仏教徒にはロヒンギャを敵視し、記者を「売国奴」となじる声が多い。国内的に記者側の嘆願に寛大に応えた体裁を整え、外圧に屈した印象を避けた

▼超法規的な制度である恩赦には政治がつきまとう。ロシア疑惑を追及されたトランプ米大統領は「私には私自身を恩赦する絶対的権限がある」と居直った。日本でも、過去に大量の公選法違反者の公民権を回復して政治利用だと批判された

▼独立しているはずの裁判所の決定が政府によって覆される。特に一斉の恩赦には問題が多い。日本には個別事案を審査する常設の恩赦手続きもあり、こちらは冤罪(えんざい)事件などで救済手段になり得るが、本来は冤罪こそ裁判所内で総括と謝罪があるべきだ

▼10月の天皇即位行事に合わせ、政府はまた一斉の恩赦を検討している。罪を償う過程と皇室行事は全く関係がない。合理的な説明は難しい。(阿部岳

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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