30代後半で頭に白いものを見つけたときは少なからず焦った。老化現象の白髪は自然なこと。分かっていても、どう付き合っていこうかと悩む女性は多いのではないか

▼白髪を隠さず積極的に楽しむ「グレイヘア」。昨年の新語・流行語大賞の候補にもなった。認知度を高めた一人、フリーアナウンサーの近藤サトさん(50)が染めない選択をした理由を聞きたくて講演に足を運んだ

▼人前に立つ仕事も多く、以前は「迷いなく染めていた」。きっかけは東日本大震災。防災グッズに白髪染めを入れる自分に違和感を覚え、「美しさ=若さ」の既成概念にとらわれない生き方を考えるようになったという

▼満を持してテレビ番組にグレイヘアで出演したのが1年前。ネットには当初、「老いた」「劣化」など心ない言葉が並んだが、「50年生きていれば老いるのは当たり前。人生経験を重ねて出る美しさがある」と胸を張る姿が潔い

▼提示するのは、人生100年時代を生き抜くための「変身の勧め」。老いの固定観念に縛られず、どう生きたいか自ら選択する大切さを説く

▼話を聞きながら、グレイヘアに紫のメッシュを入れてさっそうとしていた職場の大先輩を思い出した。同調圧力で自分と違う他者を排除するよりも多様性を認め合う社会が生きやすい。帰り道、ふっと心が軽くなった。(大門雅子)