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五輪を前面、反対しにくい空気 「なぜ一律規制なのか」 <ドローン目隠し法案(5)>

2019年5月16日 05:15

 衆院の委員会質疑はわずか2時間40分余り。本会議でもドローン規制法改正案は、あっさり可決された。野党第1党の立憲民主党内で賛否が割れたことが影響した。

ドローン規制法改正案を賛成多数で可決した衆院本会議=4月16日

 党として最終的に反対を決めたが、その後も「うちは賛成したんじゃないの?」と言う議員がいたほど。法案は今年のラグビーW杯と来年の東京五輪・パラリンピックのテロ対策を前面に掲げており、反対しにくい空気があった。

 党内と委員会審議で反対を主張した篠原豪衆院議員は「テロ対策をカムフラージュに使っている。報道機関まで規制するのは知る権利上、問題がある」と批判する。「技術はこれから飛躍的に進歩するのに、なぜ一律規制なのか」

 技術面のテロ対策は進んでいる。世界シェア7割とされるドローンメーカーDJIの機体は、空港や航空基地周辺でモーターが回らない。米国や中国は車のように機体を登録し、ナンバープレート代わりの番号やQRコードを表示するよう義務付けている。身元がはっきりした機体は、犯罪の恐れも少ない。

 日本政府も機体登録や上空の機体を識別する仕組みを検討している。内閣官房の担当者は「今は統一的な技術の基盤がない。将来の課題になる」と説明、その前に法的な飛行禁止措置が必要との考えを示す。

 ■   ■

 ドローンの脅威は迫っているのか。首相官邸や原発上空の飛行を禁止する現行の規制法で検挙されたケースはゼロ。政府は自衛隊管理の飛行場上空を飛んだ1件、キャンプ・シュワブ上空で米軍ヘリに接近した1件を危険な事例に挙げるが、いずれも詳細は伏せたまま。攻撃の意図は確認されていない。

 金高望弁護士は立法の前提となる脅威があいまいだとみる。「完璧な安全を追求すればきりがない。例えば病院で転落事故を防ぐため、全ての患者をベッドに縛りつけることが果たして人権上許されるだろうか」と問う。

 「今回と同じようにテロ対策を掲げた共謀罪は計画段階の犯罪処罰を可能にし、人々の内心に踏み込んだ。次はドローン規制で目がふさがれる。安全が名目になると、何でも受け入れるような風潮が一番怖い」

 改正法案には、どんな基地なら飛行禁止区域に指定でき、どんな場合は飛行に同意すべきか、基準が一切書かれていない。全て防衛省、米軍、自衛隊の判断に委ねられる。

 14日、参院で法案の趣旨説明があり、実質審議入り。最短なら17日に成立、6月中旬に施行される。(東京報道部・又吉俊充、編集委員・阿部岳)=おわり

 ワンポイント解説 ラグビーW杯や五輪会場周辺の飛行禁止は大会期間中の時限措置。メディアは各組織委員会の同意を得て飛行できる。一方、基地周辺は恒久的に規制され、司令官の同意が必要になる。

>>米軍、権限なく空撮を規制 基地の動向把握が困難に <ドローン目隠し法案1> 

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