長時間立たせてトイレにも行かせない。震える背中に冷水を掛ける。千葉県野田市の小4女児虐待死事件で、女の子が「毎日地獄だった」と言った虐待の凄惨(せいさん)さに胸がえぐられる

▼父親の暴行を止めなかったとして傷害ほう助罪に問われた母親の初公判。自身もドメスティックバイオレンス(DV)に遭い、被告人質問で暴行を止めたかと問われ「通報すると言ったが、胸ぐらをつかんで床に押し倒された」と明かした

▼女児を連れて逃げなかったことには「連れ戻されると思った」。沈黙する場面も多く、考えることを停止したかのような精神状態がうかがえた

▼「このお母さんは私だったかもしれない」。事件後に取材で話を聞いたDV経験のある女性は、元夫に支配されていた過去を重ね合わせた。暴言を浴び続け、次第に感覚がまひし、その場をやり過ごすことだけを考えていたという

▼当時、「しつけ」と称した子どもへの虐待も止められなかったと悔やむ。極限状態のDV被害者が、虐待を受けている子どもを守るのがいかに難しいかを物語る

▼政府は親の体罰禁止などを盛り込んだ児童虐待防止法の改正を目指す。DVの影に虐待があり、虐待の影にDVがあるとの認識を持ち、母子ともに支援することが不可欠だ。子どもに地獄と言わせる虐待を見逃してはいけない。(大門雅子)