地域の文化や伝統を物語としてまとめて文化庁が認定する日本遺産に、「琉球王国時代から続く琉球料理と泡盛、芸能」が選ばれた。

 日本の宝として、沖縄が誇る「おもてなし文化」が発信されることを期待したい。

 日本遺産制度は、地域活性化や観光振興を目的に2015年度から始まった。各地の有形・無形の文化財を一つのストーリーでつなぎ、点在する文化財を「面」として捉えることで、総合活用していこうというユニークな取り組みだ。

 重視しているのは地域の魅力を発信する明確なテーマと分かりやすい物語性。県内の認定は初めてとなるが、この5年間で遺産は83件まで広がった。

 今回、県は首里城のある那覇市、国立劇場のある浦添市と連名で申請。琉球料理、泡盛、芸能を核に次のようなストーリーを描く。

 〈沖縄はかつて琉球王国と呼ばれ、独自の文化を形成してきた。中国皇帝から派遣された冊封使節団の宴は国を挙げての重要な行事で、冊封使をもてなす料理や芸能に力を注いだ。王国時代に育まれた食文化と芸能は、「世替わり」の歴史を映しながら、連綿と続く「守礼の心」で受け継がれている〉

 ミヌダルや花イカなどが盛り付けられた東道盆(トゥンダーブン)料理、芳醇(ほうじゅん)な香りと深いこくの泡盛、古典音楽に乗せて演じられる組踊や琉球舞踊は、優雅な王朝文化を今に伝えるロマンがある。

    ■    ■

 日本遺産に認定されると、国が観光ガイドの育成や多言語のホームページ作成といった取り組みを支援する。

 認定がきっかけで外国人観光客が急増するなど呼び込みに成功した地域もある。外国客の増加に伴い飲食店などで多言語メニューを備える自発的な動きも広がっているという。

 18年度に沖縄を訪れた観光客は999万9千人で6年連続して過去最高を更新した。増加に大きく寄与したのは全体の3割を占めるまでになった外国客。その増加率に比べると国内客の伸びは鈍化傾向にある。

 観光が好調な今だからこそ、新たな観光客の誘致と「また来たい」と思わせる工夫が必要だ。

 分かりやすいストーリーで沖縄の文化や伝統を紹介していくことは、消費の多い欧米客を呼び寄せる有効な手段になるのではないか。遺産の魅力を磨けばリピーターにつながるだろう。

    ■    ■

 日本遺産認定を、琉球料理と泡盛のユネスコ無形文化遺産登録に向けたステップにしたいとの声も強い。

 特に琉球料理は、伝統の継承と普及を目指す琉球料理保存協会が設立されたばかりで、「琉球料理の日」制定などを訴えている。

 伝統的な食文化が失われつつある現状を踏まえれば、関係機関と連携した対策が急務である。

 学校給食の中で子どもに親しんでもらったり、地域で料理講習会を開くなど、継承への土壌をつくっていくことも重要だ。