コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンは、消費期限が近づいた弁当などの食品の購入者に5%分のポイントを提供する還元策を今秋から全店舗で始める。実質的な値引きとなり、売れ残りを抑えて、廃棄を減らす戦略だ。ローソンも同様に6月から沖縄、愛媛の両県で実験的に行う。

 まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らす取り組みとして歓迎したい。

 売れ残った土用丑(うし)の日のうなぎや季節商品が大量に廃棄されたことが社会問題となり、今年1月には、農林水産省が恵方巻きの商戦前に、スーパーなど小売団体に「需要に見合った販売を」と異例の要請を行った。

 こうした動きなどから、定価販売の見直しに慎重だったコンビニ業界が、実質値引きにかじを切った。加盟店の廃棄費用の負担軽減につなげたい狙いもある。削減効果は未知数だが、食品ロスを減らす観点から、業界の取り組みが前進することを期待したい。

 農水省によると、日本の食品ロスは2016年度推計で約643万トン。国民1人当たりでは、茶わん1杯分の食べ物を毎日捨てている計算になるという。

 食品ロスは国際的な課題でもある。世界の食料廃棄は年間13億トンに上る一方、栄養不足に苦しむ人は8億人を超える。国連の持続可能な開発目標(SDGs)では、30年までに1人当たりの食料廃棄を半減させる目標を掲げている。大量の食料を輸入に頼る日本では、積極的な取り組みが必要となる。

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 食品ロスの削減には、消費者の意識改革も欠かせない。

 国内の食品廃棄のうち、コンビニやスーパーなどの小売業は1割程度で、約半数を占めるのは家庭から出る食べ残しや手つかずの食品などだ。

 消費者庁が1月に男女3千人を対象にしたインターネット意識調査では、食品ロス問題の認知度は約7割と高かった。一方で、食品ロスを意識して、コンビニなどの商品棚に並ぶ賞味期限が近い商品を買ったことがあるかについては、「ほとんどない」「全くない」を合わせると半数を超えた。食品ロスの問題は意識していても、実際には行動につながっていない実態がうかがえる。

 食生活の中で「もったいない」と意識した場面(複数回答)で、最も多かったのは「期限切れなどで食べずに捨ててしまうとき」だった。日常的に廃棄する消費行動が繰り返されていることが分かる。

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 超党派議員がまとめた食品ロス削減推進法案が衆院を通過しており、今国会で成立する見通しだ。

 食品の生産から消費に至る段階でロスを減らし、国民運動として位置付け、国や地方自治体、事業者の責務を明記。食べ物に困っている人たちに食品を提供する「フードバンク活動」の支援も促す。

 食品ロスをなくすには、さまざまな分野での対策が必要になる。法制定を契機に、官民挙げた着実な取り組みと、消費者一人一人が食習慣や消費行動をいま一度見直すことにつなげることが大事だ。