第5回沖縄建築賞(主催・同実行委員会)の表彰式に参加した入賞者らは受賞を喜び、建築へのこだわりや抱負を語った。主な受賞者の声や審査委員長の講評を紹介する。(作品の写真は同実行委員会提供)

住宅建築部門 正賞

「アカジャンガーの家」 金城豊氏 門一級建築士事務所

住宅建築部門で正賞を受賞した金城豊氏の「アカジャンガーの家」

地域記憶 琉球資材で

 クライアントに寄り添うことを日々大事にしている。ただ相手の要望を聞くだけではなく、歴史など深い部分を探っていくと、設計のイメージは変わってくる。

 うるま市のアカジャンガー貝塚の近くに立つ住宅には、「地域の記憶」をテーマに琉球石灰岩を並べ、琉球固有の植物を植えた。かつての面影を取り入れ、地域の記憶として未来に残していきたいと思った。受賞を機に新たな気持ちで、家主や地域に寄り添った仕事を続けていきたい。

一般建築部門 正賞・新人賞

「オアシスバンク」 宮城江利奈氏 渡久山設計

一般建築部門で正賞を受賞した宮城江利奈氏の「オアシスバンク~市民に開かれたコミュニティスペース~」

くつろげる空間提案

 今までにないような提案を受け入れてくれた琉球銀行に感謝したい。

 銀行には就職や結婚など人生の節目に足を運ぶ。また、計画地一帯は商業ビルが多く緑が少ない。こうしたことを考え、地域の人がくつろげるオアシスのような場になればと設計した。

 施主との出会いは財産。激励の言葉を受けることで自ら成長でき、情熱を持ち続けることができる。これからもそういう出会いを大切にしながら設計に携わりたい。

タイムス住宅新聞社賞

「Joy Chapel」 福村俊治氏 チーム・ドリーム

一般建築部門でタイムス住宅新聞社賞を受賞した福村俊治氏の「Joy Chapel」

沖縄の風土 建物貫く

 沖縄の気候や風土に合った明るく楽しい教会にした。建物を貫くように設けた半戸外の空間は、教会のイベントや子どもの遊び場としても使える。冬でも寒くない、沖縄ならではの空間だ。

 最近は箱で閉じたような建物が増えているが、快適さが損なわれかねない。

 沖縄では外から見て近づきたくなるような建物を造って、街全体を明るくしていくべきだと思う。これからも沖縄の地に足を着けた建築をしていく。

自然とつながる作品定着

講評:古市徹雄 審査委員長 

 第1回から審査委員長を務めているが、作品の質は確実に上がってきている。沖縄には本土にはない独自の歴史と伝統を持つ建物が存在していたが、台風や火災に対する優位性から戦後はコンクリート建築が普及し、伝統的建築が失われてしまった。しかし、今回の応募案にはコンクリート建築においても、伝統建築のアマハジ(半屋外空間)などを取り入れることで、自然と連続した建築を提案した作品が多く見られた。

 これらの提案は年々増え、沖縄建築の新しい提案として定着しつつある。新たな沖縄建築の文化がこのまま確実に育ってほしい。