法人や個人から寄せられた寄付金を子どもの貧困解消に役立てる「沖縄こども未来プロジェクト」(代表・武富和彦沖縄タイムス社長)は4月、初めて県内の新高校生に対する入学応援給付金を支給した。給付金応募者からは、高校生活での金銭的負担の重さを指摘する声が上がっている。(社会部・嘉数よしの)

 

■県内高1の必要経費20万円 さらに部活費や修学旅行がプラス

 沖縄タイムスが授業料以外にかかる費用を調べたところ、ある県立高校では新1年生の「必要経費」が年間約20万円に上ることが分かった。部活動や修学旅行などに参加すると、さらに数十万円上乗せされることになる。県立高校では2014年度から、授業料が実質的に無償化されているが、教科書代や制服代などは自己負担で、家計への影響は小さくない。

 県立高校(全日制)の年間授業料は11万8800円。国は世帯年収910万円未満の生徒を対象に授業料に充てる「就学支援金」を支給しており、県内では約9割の生徒が制度を受けて授業料免除になっている。

 ただ、教材費や模試代などの「校納金」や教科書代、制服代などは別途必要だ。ある普通高校では、PTA会費が8400円、部活動の生徒派遣費が1万1千円かかるほか、進路指導費6千円、諸テスト費約1万円など合計で5万円以上必要だった。早朝講座や必修模試の費用が3万円を超える高校もある。

 教科書代も数万円かかり、中には任意で2万~3万円の電子辞書を購入する高校もある。進学校の場合、そろえる副読本が多く、ある教員は「買ってもらっているので宿題などに活用するが、生徒と家族にとっては経済的にも勉強量としても負担で、悪循環になっているかもしれない」と話す。

 2年生になると修学旅行に行く場合、約10万円用意しなければならない。各校とも費用を抑える努力をしており、中には修学旅行を実施しない高校もある。

 一方で、必修授業の一環で、県外に渡航する高校もある。調べ学習や進学先の見学などのためで、旅費は自己負担。行けない生徒は自習でカバーするという。

 生徒たちは体操着や制服などもそろえなければならない。検定や資格試験の受験、部活動も加えると、さらに負担は重くなる。

■奨学給付金 県内高校生の3割が受給

 生活保護受給世帯や市町村民税所得割額が非課税の世帯には、「奨学給付金」が支給される。公立の場合、年額3万2300~12万9700円を給付。県内では高校生の約3割が奨学給付金を受けている。

未来プロジェクト応募者の65%が母子世帯

■子の数多い傾向 困窮際立つ

 沖縄タイムスの「沖縄こども未来プロジェクト」高校入学応援給付金に応募した491人(485世帯)のうち、最も多かったのは「母子世帯」の321人で全体の65・4%を占めた。給付金応募者の内訳では、母子世帯の困窮が際立った。

 

 世帯構成別で次いで多いのは「夫婦と子どもの世帯」131人(26・7%)。「その他」29人(5・9%)、「父子世帯」10人(2・0%)が続いた。

 1世帯当たりの子どもの数で最多は「1~2人」の227世帯で46・8%。ただ「3~4人」も201世帯(41・4%)とほぼ同数だった。国民生活基礎調査(2010年)によると、18歳未満の子のいる世帯の子どもの数の平均は1・7人で、給付金応募世帯は子どもの数が多い傾向にあった。

 1世帯当たりの子どもの数が「5~6人」も53世帯(10・9%)、「7人以上」も4世帯(0・8%)が応募していた。

■「給付金に励まされた」支援に感謝の声

 「制服代にします」「母の負担が軽くなってよかった」-。高校入学応援給付金を受けた生徒や保護者からは給付への感謝の声が寄せられた一方、高校生活での負担増を心配する声もあった。

 女子生徒は「給付金は高校進学の準備に使いたい」と期待した。母子世帯で母のパート収入でやりくりしているといい、「私が学校を卒業して社会貢献できる人材となった時は、このプロジェクトに貢献していきたい」と抱負を語った。

 きょうだいが6人いるという生徒は「制服代や学習用具の準備に使う。とっても助かる」とコメントした。世帯としては小学校入学時の給付金に引き続き2度目の利用となった。保護者は「給付金で、他の家庭と同じように同じ物を購入できる。夫婦ともに必死で働いているがまだ足りないので、子どもたちには我慢をさせてきた。支援に心から感謝している」と喜んだ。

 高校入学では、予想以上に学校費の負担が重いことに驚く保護者の声もあった。

 娘が工業高校への進学が決まったものの、入学金以外にさまざまな出費があると知り心配していたという保護者も。「給付金の知らせに励まされた」と安堵(あんど)した。別の保護者も「高校入学時は小中学以上に負担がかかるので、どうしようかと思い悩んでいた」と明かした。

■18年度 845人に総額3000万円

 沖縄こども未来プロジェクトは法人や個人から寄せられた寄付金を「入学応援給付金」として支給する。2018年度は小学校(3万円)、中学校(4万円)、高校(5万円)を小中高校の新1年生計845人に総額3301万円支給した。うち新高校生は485世帯から491人の応募があり、215人に支給された。

沖縄こども未来プロジェクト

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