那覇市第一牧志公設市場は8日も買い物客らでにぎわった。粟國智光組合長(44)は「いろんな人のストーリーの詰まった市場だった」としみじみ。建て替えのため、現市場での営業は16日まで。残り約1週間となり、市場を「個人的には文化遺産」とたたえる

▼その歩みは戦後の闇市から始まった。那覇市が露店商を集め、1950年に現敷地で整備。火災での大規模焼失などの苦難を乗り越え、日本復帰の72年に現市場がオープン。「先人が苦労して造り、沖縄の戦後史と一緒に歩んできた」

▼7月1日には約100メートル離れた仮設市場で営業を開始する。現敷地に戻るのは2022年の予定。ちょうど日本復帰50年の年だ

▼仮設や新市場でも相対売りは残し、マチグヮーらしい空間を維持。また店舗で購入した食材を市場の食堂で調理してもらって食べる「持ち上げ制度」も継承する。一方で朝食の提供など新たなアイデアも模索する

▼市場にとって大きな転機でもある。最近、ある70代の事業者が「3年後は新しい市場ができるから」と前向きに話しているのを聞いて粟國組合長は「みんなで乗り越えていける」と手応えを感じた

▼新市場では沖縄の食文化を発信し、伝統食を再集積して「将来的には長寿県復活にもつなげたい」と意欲的に語る。伝統と革新の融合。市場の底力に期待したい。(内間健)