沖縄県本部町内で、地名や店名を平仮名で「もとぶ」と表記する企業や事業所が増えている。観光客や県外の取引先に「本部(ほんぶ)」と誤解されるのを避けるためというのが主な理由だが、平仮名で親しみやすさを狙うケースも多い。6月10日は町のPRデー「むとぅぶ(610)の日」。(北部報道部・又吉嘉例)

農業生産法人もとぶ牧場の直営レストラン「焼肉もとぶ牧場」=本部町大浜

沖縄海邦銀行もとぶ支店=本部町渡久地

「本部カムカム歯科」から改名した「もとぶ歯科」=本部町大浜

親しみやすさを出そうと、全て平仮名の店名に変えた仲村一茂さん=6日、本部町崎本部

農業生産法人もとぶ牧場の直営レストラン「焼肉もとぶ牧場」=本部町大浜 沖縄海邦銀行もとぶ支店=本部町渡久地 「本部カムカム歯科」から改名した「もとぶ歯科」=本部町大浜 親しみやすさを出そうと、全て平仮名の店名に変えた仲村一茂さん=6日、本部町崎本部

 県内の地銀3行は、いずれも町内に支店を構える。琉球銀行と沖縄銀行はそれぞれ「本部支店」だが、沖縄海邦銀行は「もとぶ支店」と平仮名を採用している。海銀によると、同支店は1950年に開設した。当初は漢字で表記していたが、66年に本部(ほんぶ)と間違われないように変えたという。

 本部(もとぶ)警察署にはかつて全国的に注目を集めた事件が起こった際、県警本部と誤解した県外マスコミからの電話が殺到したという。

 町内で観光施設やホテルを運営する前田産業ホテルズ(名護市)は数年前から、パンフレットや名刺などの住所に「もとぶ町」を使っている。広報の清水直哉さんは「観光客が読みやすいように社内で表記を統一している」と説明する。

 3年前に「本部カムカム歯科」から改名したのは町大浜の「もとぶ歯科」。経営する医療法人幸悠会(北海道)の長野琢也理事長は「柔らかいイメージを出したかった」と語る。県産ブランド牛「もとぶ牛」を生産販売する農業生産法人もとぶ牧場の坂口泰司社長も「神戸牛や松阪牛など、地方の名牛は地名を付ける。もとぶ牛は平仮名で分かりやすくしたことも受けた」と効果を実感する。

 崎本部の仲村一茂さん(43)は15年前、知人から国道449号沿いの「本部釣り具店」を買い取り、全て平仮名の「もとぶつりぐ」に改名した。「小学校低学年の子どもでも読めるように親しみやすくしたかった」のが理由だ。

 そもそも「本部」という地名の由来は何か。町史によると1667年、今帰仁間切(行政区)から分割した伊野波間切が翌68年に「本部間切」に改名した。ここで「本部」が初登場するが、由来や改名した理由は分かっていないという。

 町立博物館の小浜克也さんは、13~14世紀に地域で英雄視された崎本部出身の武将「本部平原(てーはら)」の名を挙げ、「改名時に本部平原の影響力が残っていたのでは」と推測する。「紛らわしさもあるが、文武両道の町民性を表す『武本部(ぶーむとぅぶ)』の言葉もある。町民にとっては漢字も大事」と話した。