沖縄県が10日発表した2019年4月時点の市町村別の待機児童数で、最多となった那覇市と2番目に多かった南風原町。申込児童数は昨年同月に比べ那覇市が785人増、南風原町が177人増で、ともに認可定員の増加数を上回った。両市町の担当者は県内労働市場の改善を受けて働く女性が増え、保育需要が高まったことが背景にあると分析。保育士不足も打撃となった。

 全国ワースト3位だった2016年4月の559人から、順調に待機児童数を減らしてきた那覇市。市によると、19年4月の1歳児の待機児童数は、昨年同月の69人から約2・6倍の182人に膨れあがった。市こどもみらい課の宮城安伸課長は「好調な県経済の影響で働く女性が増え、子どもを預ける人も増加した」とみる。

 市が待機児童解消などを目的に策定し18年に見直した計画は、市内の全1歳児に占める認可保育所などの利用見込み率を62・9%と設定。だが今回は大きく上回る66・5%が利用を申請した。

 宮城課長は「保育士不足も待機児童の増加の背景の一つ」と推測。保育士不足による影響の把握を急ぐ。

 「人手が足りない」「保育所の数が足りない」など、地域によって状況はさまざま。特に保育所が不足する真和志地区に20年度から新たに二つの認可保育所を設ける予定だ。小学校区ごとでの課題分析に取り組み、20年度からの新計画に反映させる方針という。

 待機児童率が9・92%で県内でも突出して高かった南風原町こども課の儀間博嗣課長は「町内未就学児数は昨年度からほぼ横ばいだが、申込数が増えた。有効求人倍率が上昇して働く親が増え、保育ニーズが高まった」とみる。

 18年度に認可保育園を増設するなどし定員を144人増やしたが、申込数の増加に加え、保育士13人の不足で51人の児童を受け入れられなかった。20年度は認可保育園2園を増設し、180人の定員増を図る。

正確なニーズ把握・対策を

 県が掲げる2020年3月末までの待機児童解消に暗雲が立ち込めている。19年4月1日時点の県内の待機児童は1702人、加えて、第1希望に落選したため認可園の入所を諦めるなど国の基準で待機児童数にカウントされていない「潜在的待機児童」も1568人いる。10月に始まる幼児教育・保育の無償化でさらに保育需要が高まることが見込まれる中、県や市町村による正確なニーズの把握や、対策の見直しは急務だ。

 県は待機児童ゼロを目指す15年度からの5年計画「黄金っ子応援プラン」で20年3月末までに認可定員を5万7千人分確保すると掲げたが、保育需要の高まりを受け17年度に目標を6万4335人分に見直した。市町村の施設整備などで、年度内には目標を上回る定員6万5千人分を確保できる見通しが立っている。

 だが計画上の目標を達成しても、待機児童解消の道筋は見通せない。定員数が増えることで、需要が掘り起こされる一方、施設によっては定員が埋まらないミスマッチの課題もある。

 保育士不足も深刻だ。県や市町村の取り組みで5年間で保育士は2721人増えたが、ニーズの高まりに追い付けていない。昨年4月には県全体で260人が不足し、児童932人の入所制限が生じた。

 5年計画は本年度が最終年度で、県は第2期プラン策定に着手した。よりよい保育が受けられる子どもの権利を保障し、女性の就業意欲の高まりを後押しできる環境の整備が急がれる。(社会部・篠原知恵)