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[私の公設市場物語](2)松本料理学院学院長 松本嘉代子さん ユンタクする特別な空間 市場の魅力

2019年6月13日 05:00

 ことし開校50年を迎える松本料理学院の学院長、松本嘉代子さん(80)=那覇市=の県産食材に対するこだわりは人一倍強い。提唱する琉球料理の継承に「公設市場の存在は不可欠」と語る。新市場の幕開けには「これまで続いてきた売り手と買い手のコミュニケーションが残ってほしい」と要望する。

松本嘉代子さんは、かつお節を扱う「松本商店」の常連客。この日の逸品を探す=5日、第一牧志公設市場周辺

 公設市場はここでしか手に入らない食材が多く、とっておきの物を売ってくれる場所。売り手と買い手が商いを通じてユンタクしながら過ごせる特別な空間が市場の最大の魅力なんです。

 新天地市場本通りの一角で母が商売していたことから、「下町」と呼ばれていた公設市場は昔からなじみ深く、ここでの買い物が当たり前だった。

 料理学院開校後も日課のように市場へ足を運び、学院で使う材料のほとんどをそろえる。要望に合わせた仕入れや販売を行う粋な商売は今も変わらない。市場や周辺店舗で新鮮な食材と向き合うことは沖縄の食文化を体感でき、お目当ての食材を探すのが楽しみなんです。

 長年、市場で購入するのは、脂がのり、甘味が特徴な県産豚肉。市場の精肉店は大型量販店と違って細かく部位の指定ができ、自分が欲しい分だけ買える。常連客にはこの日一番の商品を取り置きして勧めてくるサービスもあり、互いの信頼関係で商売が成り立っている。だからこそ、またこの店に行きたくなる。

 しかし、時代の変化に伴い売り手は高齢化。昔ながらの顔ぶれが少なくなったことは寂しいですね。

 市場は仮設店舗での営業を経て新市場に様変わりするけど、私は売り買いだけの関係で終わる場所は求めていない。古き良き時代の情景を残し、高齢者が通いやすい空間を創出してほしい。

 私を支えてくれた“台所”には「長い間ご苦労さま」と。楽しみながら客に接してくれた売り手の皆さんにも感謝しかない。次世代に継承できる新しい市場の誕生を私は待っています。(聞き手=社会部・砂川孫優)

 まつもと・かよこ 1939年生まれ。松本料理学院創設者で学院長。琉球料理のユネスコ無形文化遺産登録の運動や「琉球料理の日」制定を提唱。沖縄における食文化の継承を呼び掛けている。県文化功労賞、第49回琉球新報賞、第63回沖縄タイムス賞など受賞。

ありがとう牧志公設市場 ウェブ写真館
1960年代から現在まで、本紙が取材で撮影した写真を多数掲載しています。心に刻みたい沖縄の風景、こちらからチェックできます。

 
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