沖縄セルラー電話(那覇市、湯淺英雄社長)が、グループ企業で生産している県産イチゴの海外輸出に乗り出す。本年度中に県内で新工場を整備し、2020年度に香港や台湾などアジア地域への出荷を始める。海外出荷は輸送時間が長いため、最適な収穫のタイミングや鮮度の維持など、高度な管理体制が求められる。セルラーの強みである情報通信技術(ICT)や先端機器を駆使し、安定供給を図る。構築した輸出体制を他の農家にも開放し、県産イチゴのブランド化の促進も目指している。(政経部・島袋晋作)

ICTを活用したイチゴ工場を見学する大宜味村の宮城功光村長(右から2人目)ら=2018年7月、大宜味村

 セルラーと子会社の沖縄セルラーアグリ&マルシェは昨年、大宜味村内のイチゴ工場で水耕栽培している「美ら島ベリー」の出荷を本格化。1日に約1500粒を収穫し、主に県内の製菓会社に出荷している。

 完全密閉された工場では、ICTを活用して最適な生育環境を維持。収穫まで人が触る回数を減らすことで無農薬栽培を実現している。

 セルラーは今回、内閣府の沖縄国際物流拠点活用推進事業の補助金を活用し、新工場を整備する。生育環境のさらなる高度化を図り、1日3千粒の出荷を目指す。

 人工知能(AI)でイチゴの画像データを分析し、色づくまでの日数や海外輸送に適した収穫タイミングを知らせる仕組みを導入する予定。

 また、収穫から販売までのデータを追跡。販売データを基に出荷数や間隔を調整し、良好な状態のイチゴが店頭に並ぶようコントロールするシステムも実証する。

 養液に使う水には、減菌効果などが期待できる「ウルトラファインバブル」(極小の泡)の発生装置を設置。水中の酸素量が増え、収穫量の増加も見込めるという。

 日本産イチゴは品質が高く、海外での需要は高いが、1~4月の旬の時期しか供給できていないという。セルラーは通年の安定供給を実現することで、県産イチゴのブランド化を進める考えだ。

 担当者は「無農薬でおいしいイチゴを供給しながら、通信会社として多くの人に役立てる技術を開発し、普及していきたい」と話している。