大手投資会社の資本傘下となったオリオンビールが新役員人事を発表した。チューハイなど消費者の支持を集めている酒類商品の積極的な展開に向け組織体制を刷新し、市場に合わせた商品開発で大手メーカーとの競争に臨む方針を示した。マーケティング部門の新設や外部から社長を迎え入れる方針は明らかにされたが、不振が続くビール事業をどのように立て直すのかは不透明だ。(政経部・仲田佳史)

自社商品の販売戦略について説明する〈左から)亀田浩取締役、與那嶺清取締役副会長、宮里政一代表取締役=19日、那覇市・ホテルロイヤルオリオン

 9月末までに中期経営計画を策定し、公表する方針だが、収益の柱は依然とビール類が担うことに変わりはなく、対応は急務となる。

 人口と観光客の増加が続く県内でオリオンはビール類の販売が伸び悩む。消費者の酒の好みの多様化に合わせて大手メーカーはチューハイやカクテル、ハイボールなどのRTD(レディートゥードリンク)商品を続々と投入。オリオンの市場を奪ってきた。

 同社幹部はこれまでマーケティング部門が社内になく、ビール類の商品を個々の担当者が売り込んできたと明かす。企業目線で市場に商品を投入すれば売れるという「プロダクトアウト」の発想から抜け出せず、消費者の変化を機敏にとらえ、商品を作り出す「マーケットイン」ができなかったと振り返る。

 新たに設置するマーケティング本部には、高級チョコレートメーカーでマーケティング担当を務めた責任者を執行役員に置き、市場に合った商品開発を進める方針だ。一方、RTD商品を加えつつも収益の基盤はあくまでビール類との方針を崩していない。だが、会見ではビール類の販売を具体的にどのように回復させるかは見えず、中身は中期経営計画に委ねられることになった。

 ビール類が全国的に伸び悩む中、プレミアムビールといった品質と味にこだわった商品の人気は高い。新経営陣がいかに消費者の嗜好(しこう)にあったビール類を開発し本業を立て直せるか、手腕が試される。