この歌を聴くと、球児の夏がやってきたと感じる。琉球朝日放送の高校野球番組のエンディング曲で、沖縄市出身の歌手なっちぃさんが歌う「逆転ホームラン」

▼〈僕を見て。昔とは少し違う僕がここにいる〉。歌詞はようやく巡ってきたチャンスの打席で起死回生を期す選手の目線でつづられる。書いたのは元中部商高マネジャーで2014年に19歳で亡くなった儀間夏海さん

▼高1の終わりに血液のがんを発症した。抗がん剤治療や2度の移植手術、度重なる再発。3年に及ぶ壮絶な闘病生活の中でノートやブログに多くの詩を書き残した

▼〈病気になったからこそ誰よりも一日の大切さを知った〉〈あっちこっち歩いて、ボロボロになった頃ようやく出口がみつかった。何度も迷ったおかげで〉。時に病魔におびえながらも、命と真っすぐに向き合った言葉が並ぶ

▼死後、数点の詩に県内のアーティストが曲を付けた。高校野球の応援歌になったこの曲は、母ひとみさん(50)にとって「家族思いだったなっちゃんからの贈り物」だ

▼101回目の夏の甲子園を懸けた沖縄大会は29日に初戦を迎える。野球も人生も無死満塁のピンチもあれば、痛恨のエラーをすることもある。心が折れ掛けた時に夏海さんの言葉を送りたい。〈もうイイヤはダメ言葉。また頑張ろうは魔法の言葉〉(大門雅子)