那覇市内で、住居用として貸していた物件が、いつの間にか簡易宿所として使われていたとして、この物件オーナーの男性(63)が「旅館業営業許可証」を発行した那覇市に許可の取り消しを求めている。オーナーによると賃貸契約書が偽造されていた。宿泊業関係者は、昨年6月の民泊新法(住宅宿泊事業法)施行により民泊としての営業が難しくなり、一部が旅館業に移行していることが背景にあるとみている。(社会部・城間陽介)

偽造されたとみられる賃貸契約書。「住居目的として賃貸」と明記したはずが「居住若しくは宿泊のみを目的」と改変されたという

旅館業営業許可を取り付けるため、オーナーに無断で取り付けられた火災報知器=6月20日、那覇市

偽造されたとみられる賃貸契約書。「住居目的として賃貸」と明記したはずが「居住若しくは宿泊のみを目的」と改変されたという 旅館業営業許可を取り付けるため、オーナーに無断で取り付けられた火災報知器=6月20日、那覇市

 男性は2016年から同物件を貸している。問題の発覚は今年1月ごろ。物件の賃借人からIHコンロや洗面台の修繕依頼が立て続けにあり、不審に思った男性と管理会社が同物件に関する書類を情報公開請求した。その結果、男性が賃借人と交わした賃貸契約書と異なる契約書を基に、市が旅館業営業許可証を発行していたことが分かった。

 物件には男性に無断で、旅館業営業許可申請に必要な火災報知器も取り付けられており、大手宿泊予約サイトにゲストハウスとして紹介されていた。現在は消されている。

 情報公開で入手した契約書には「居住もしくは宿泊のみを目的として本物件を転貸するものとする」となっており、男性の身に覚えのない認め印が押印されていたという。男性は、有印私文書偽造・行使の罪で刑事告訴も検討している。

 契約書には賃借人が又貸ししたとみられる大阪市在住とみられる別の人物の名前が記載されており、同人物に電話で取材を申し込むと「営業は今もしている」「あなたにこの件で答える義務はあるんですか」と一方的に切った。

 営業許可を出した那覇市保健所の担当者は「現時点で契約書偽造の真偽は判断できない」として、男性が司法に訴えた場合の判断を待って取り消しの可否を決めると説明している。

 おきなわ法律事務所の高良誠弁護士は「問題の背景には旅館業営業許可申請が比較的容易にできることがある。私文書偽造の疑いが出ているのであれば、市は許可の取り消しを含め偽造の確認をすべきではないか」と指摘した。