2月に南城市の嘱託職員が育児休業取得を求めて声を上げた。雇い止めの覚悟を持って市議会へ陳情し、結果的に規則が見直されて休暇を取得。「育児に専念できて市や同僚に感謝している。同じ非正規の方々に権利を享受できたことを知ってほしい」と語る。同時に求めた手当条件は一部のみで収入の不安は残る。一方、来年度から非正規の待遇改善を看板とした新制度へ全国の自治体が移行する。裁量を委ねられた地方の苦心も垣間見える。

 (南部報道部・松田興平)

 南城市教育委員会の市史編さん係の山城彰子さん(34)は待遇改善を市議会に陳情。その時は市の非正規職が育休を取る制度がなかった。

 自身で調べると休暇制度を整備している自治体もあり、部署で状況を訴えた。南城市も新制度を設ける可能性を示されたが、不透明な部分も大きいと感じ、陳情を決めた。

 やりとりの末、4月から「育児」「傷病」などの休暇取得が可能となった。同時に改正を求めた免職規定も緩和。「つわりがひどくて産休前から断続的に休んでいた。免職条件に当てはまっていたけど職場の裁量で助けられた」と語る。陳情の行方が見えない一方、境遇の理解は得られているという状況だった。

 規則が整えられても懸念する点は残る。今後、別の非正規職員が休暇申請した場合、状況によっては次の契約に影響しないか不安だという。

 「私以外の方も制度を活用できないと意味がない。『再度の任用に影響しない』ということを何かしら明文化してほしい」と山城さんは望む。

 南城市総務課は「もちろん影響しない。ただ、『原則』という条件。こうしか言えないのはその時の状況で必要な人員数が変わる可能性があるからだ」と説明する。

●理想と現実

 市によると陳情前から就業規則の見直し作業を進めており、本年度から移行する予定だったという。各種休暇の取得が可能になったが有給は結婚休暇のみで、ほかは無給。

 同課は「すべて有給にすることは予算との兼ね合いで難しかった」と理想と現実の間で苦慮したという。

 南城市のケースで垣間見えた課題に職場間の溝もある。不安を抱えた職員がいて、市側も関連する新制度に着手していたにも関わらず市議会に陳情という形で問題共有となった。職場の風通しが良ければ互いに最小限の労力と対話で済んだとも考えられる。

 それでも、自治労連沖縄県事務所の長尾健治代表は南城市の新たな制度が「非正規」の立場を広く網羅していることに「その点で決して悪くない」と一定評価する。

●地方一丸で

 同事務所は2020年度から新たに導入される「会計年度任用職員制度」に注視する。非正規職員の処遇改善を名目として国が進めており、多くが「会計年度任用職員」という身分となる。手当や退職金が支給可能となり、その裁量は各自治体に委ねられる。

 長尾代表は問題点を挙げる。「待遇見直しは当然の流れだが、地方の既存予算で非正規の方々に手当を増やすなら、その費用はどこから捻出するのか。全体の頭数を減らすのか」と指摘する。行政サービスの質を落としては本末転倒となる。「地方が一丸となって国に財源を確保してもらうべきだ」と提言した。