エジプトに公民館を-。那覇市の繁多川公民館を運営するNPO法人「1万人井戸端会議」が提案した公民館をエジプトにつくる計画が6月、日本型教育を海外に広める文部科学省の事業に採択された。同NPOは資金面などで国のサポートを受けながら、エジプトで初めてとみられる日本式公民館を来年1~2月にも整備する予定だ。繁多川公民館館長で同NPOの代表理事を務める南信乃介さん(37)は「公民館が地域を変えていくことを実感してもらえれば」と意気込む。(那覇担当・比嘉桃乃)

エジプトでの公民館整備に取り組む南信乃介館長=4日、那覇市の繁多川公民館

沖縄で公民館の重要性を学んだモハメッド・アブデルミギード・サイードさん(提供)

エジプトでの公民館整備に取り組む南信乃介館長=4日、那覇市の繁多川公民館 沖縄で公民館の重要性を学んだモハメッド・アブデルミギード・サイードさん(提供)

 南さんがエジプトでの公民館整備を考え始めたのは2013年。日本の教育に関心を持ち、琉球大学で学んでいたエジプト人のモハメッド・アブデルミギード・サイードさん(39)=愛称ギドさん=が繁多川公民館を訪れたことがきっかけだった。ギドさんは地域の人たちが学べる公民館を見て、「現地で公民館をつくりたい」と夢を描いたという。

 ギドさんは15年に帰国。ネット上で繁多川公民館とつながる「グローバル公民館」をつくり、現在も互いの教育や文化を学ぶ活動に取り組んでいる。

 18年9月に南さんはギドさんの案内でエジプトを訪問し、現地の人と意見交換した。貧富の格差が根強い中で、学歴や社会的地位に関係なく「集い、学んで、つながる」公民館の需要があることを実感した。

 エジプトには首都カイロを中心に、「委員会活動」といった日本式の教育を取り入れた学校が現在約30校ある。南さんたちは地域の子どもたちが地域の住民と関われるよう学校付近に公民館を整備する計画を立てており、現在はギドさんの協力を得ながらサークル活動ができる部屋などを備えた「モデル公民館」の整備場所の選定を進めている。

 日本では地域の関わりが希薄になり、公民館設置の目的が失われつつある。南さんは「エジプトに理想の公民館をつくって、日本の公民館の改革にもつなげていければ」と展望を語り、世界中に公民館が広まることを期待した。