「今日は(観客が)3千人入っている気持ち」。「喜劇の女王」仲田幸子さん(86)が活動拠点とする那覇市の芸能館。軽妙なトークに笑いが広がる。劇団「でいご座」としての活動が9月で終了することを知った常連客らが駆け付けた

▼1932年那覇市生まれ。母を亡くし困窮の中、祖母と芝居を見て役者を志した。戦後、「捕虜」となった収容所で演劇の道へ。15歳だった

▼でいご座を旗揚げし24歳ごろから「女座長」を務めた。娯楽の少ない時代。時にはサバニに乗り各地を巡業した。「喜ばれると思い、頼まれていないところにも行った」。ウチナーグチとアドリブを駆使し、全身を使った表現で観客を沸かせた。「笑いが起こればパワーがもらえる」。筋金入りの「女王」だ

▼愛されるキャラクターは地元のCMでも人気で呼んだ。芸歴70年余。体力的なことや「ウチナーグチ離れ」などの「時代の流れ」から劇団活動終了を決めた

▼戦時中の国民学校時代、疎開船対馬丸に乗り遅れた。涙したが、出航した対馬丸は米潜水艦の魚雷で沈んだ。「芝居をしなさいという運命の導きだったのかも」と今は思う

▼9月以降も個人の活動は継続。映画出演の依頼もあり、まだまだ人気は衰えない。「生きている限り死なない」-。突き抜けた得意のフレーズで、この日も多くの人を笑わせていた。(内間健)