【小橋川慧通信員】第8回トロント日本映画祭が6月6日から約3週間、市内の日系文化会館であり、照屋年之(ガレッジセールのゴリ)さん脚本・監督の「洗骨」が最優秀作品賞に当たるグランド・ジューリー賞を受賞した。審査員は「小さな島の家族の重要な儀式を取り扱い、同時に普遍性もある」と作品を高く評価。照屋監督は「洗骨を美しい儀式と理解してくれうれしい」と受賞の喜びを語った。

 同映画祭は、北米で最大規模となる日本映画祭。「洗骨」はカナダ初公開となり、日本で観客や評論家に好評を得た映画など、約30本と共に紹介され、栄冠に輝いた。

 崩壊寸前の家族と、洗骨という沖縄の伝統的風習を結び付けた物語。審査員の一人は「観客に強烈な感動を与える。並外れたユーモアで、沖縄という小さな空間に観客を連れて行く」とコメント。他の審査員は「脚本が優れていてチャーミング。『ドラマ』と『笑い』とのバランスが完璧で、最後まで最高に楽しい」と作風をたたえた。

 作品を見た伊藤恭子トロント日本国総領事は「沖縄の美しい自然の中で人の命がつながる素晴らしさがよく表現されていた。私も子どもを産み、父を亡くした経験があり、共感するところが多くあった」と感想を述べた。

 満席の来場者を前にスピーチした照屋監督は「子どもの時、映画は私を幸せにした。大人になって、万人を幸せにするために映画を作っている。今日は私の映画が私を幸せにした」と英語で喜びを述べ、大喝采を受けた。

 照屋監督は映画後の質疑で、母親の死が契機となって洗骨の意味が理解でき、脚本ができたと強調。「母がいなければこの映画は生まれなかった」と創作の経緯を説明した。また「予想したところで観客が笑った時、最高の喜び、快感を味わうことができる」と映画製作の魅力を紹介。3本目の長編作品の脚本を執筆していると述べ、次回作にも意欲を見せた。

 上映会場には、沖縄県人も詰め掛け、照屋監督も感激した様子。トロント市内で沖縄発の「通堂(とんどう)ラーメン」を経営する上地耕太夫妻らが用意した「沖縄そば(500人分)」「ジーマーミー豆腐(100人分)」も完売し、多くのトロント市民が沖縄の魅力を満喫した。

(写図説明)最優秀作品賞受賞を喜ぶ照屋年之監督(写真左から2人目)ほかトロント日本映画祭の関係者=カナダ・トロント(C)Yosh Inouye