吉本興業とは

 1912年創業の老舗、芸能プロダクション。創業時から劇場運営を手掛け、現在ではお笑い芸人を中心に6,000人以上のタレントが所属する。芸能プロダクション事業を基盤に、テレビ番組、映画、動画、映画、出版などのコンテンツ制作・配信、劇場運営、タレント養成、専門学校運営、海外展開と事業を広げている。2019年に吉本興業ホールディングス(HD)となり、HD体制を構築。大﨑洋氏が代表取締役会長、岡本昭彦氏が代表取締役社長を務める。

レッドカーペットに参加した(左から)宮川たま子さんと吉本興業の大崎洋社長=2018年4月22日、那覇市・国際通り

吉本興業とは

 お笑い芸人を中心に6,000人以上のタレントが所属する芸能プロダクション。テレビ番組や映画、動画、出版などのコンテンツ制作、劇場運営、タレント養成の学校運営も手がける。芸能プロダクション事業を中心にゲーム開発や不動産、CD・DVD制作販売といったグループ企業30社を抱える。2019年6月に吉本興業ホールディングス(HD)に社名を変更し、持ち株会社としての役割を明確化。所属タレントを管理する主力事業を持つよしもとクリエイティブ・エージェンシーの社名を吉本興業とした。
 所属タレントは、明石家さんまやダウンタウン、笑福亭仁鶴、桂文枝などのベテランから若手までの豊富なお笑い芸人のほか、俳優、アイドル、作家や評論家などの文化人、ミュージシャンやダンサーなどのアーティスト、スポーツ界で活躍していたアスリートまで幅広い。

 創業者の吉本吉兵衛とせい夫妻が、1912(明治45)年に大阪府北区の天満天神(大阪天満宮)裏手に並ぶ演芸小屋の一つ「第二文芸館」を購入し、始めた寄席がルーツ。翌年の13年には吉本興行部を設立し、寄席を次々と買い取ってチェーン化。22年には30近くまで拡大させ、演芸経営を確立する。26年に活動写真を取り入れたり、34年には米国からボードビルショーの「マーカスショウ」を招へいしたりするなど、劇場運営の幅を広げていった。34年は演芸場「南地花月」から初めてのラジオ放送、同社として初制作の映画も封切られ、劇場を拠点に最先端の芸能を発信していった。こういった歴史を背景に、同社は劇場運営を「笑いの原点」と捉えており、現在では全国に12の劇場を運営している。吉本せいは、2017年度下期に放映されたNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」のヒロインのモチーフにもなった。

 第2次世界大戦で、大半の劇場を失うが、戦後すぐに映画の制作・上映などで劇場興行を再開。娯楽の分野から戦後復興を支えた。高度経済成長期に入り、テレビが普及する中、笑福亭仁鶴、漫才コンビのやすし・きよしといった所属するお笑い芸人の人気が高まり、劇場興行も好調に推移。1980年代はMANZAIブームで多くのスタータレントを輩出し、芸能プロダクションとしても経営の幅を広げた。
82年には大阪にタレント養成の「吉本総合芸術学院(NSC)」を設立。1期生のダウンタウンを始め、多くの人気芸人を送り出しており、現在は東京、広島、福岡など全国に7校を展開している。沖縄では2011年に開校し、現在は「よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ」として運営している。

 地域活性化を目的として、11年に「あなたの街に住みますプロジェクト」を開始。全国47都道府県それぞれにお笑い芸人が住み込み、各地の特産品やイベント情報、お勧めスポットなどを発信している。沖縄は、地元出身のコンビ「ありんくりん」が地域イベントに出演して盛り上げるなど活動している。

 地域振興と人材育成に力を入れており、沖縄では09年に吉本興業初となる専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」を那覇市に開設した。2年制で、マンガやCG、アニメの制作、ダンスや演技、制作技術などが学べる。さらに19年秋にはNTTと共同で教育コンテンツの制作・配信会社「ラフ&ピース マザー」を那覇市に設立する予定。5Gを含む最先端のIT技術を生かして映像やコンテンツを配信するほか、バーチャルリアリティーを体感できるアトラクション施設も展開する計画だ。

 同社が主催し、09年から始まった沖縄国際映画祭「島ぜんぶでおーきな祭」は、上映観客数がのべ30万人に上り、よしもと芸人を始め多くの芸能人も訪れており、全国に沖縄を発信する機会となっている。映画出演者ら有名芸能人が登場するレッドカーペットも人気を集めている。

 上海メディアグループ(SMG)と11年に共同で現地法人を設立するなど海外展開も重点的に取り組む。中国、台湾、韓国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、米国を拠点にテレビ番組や映画の制作、タレント発掘・育成などを手掛けている。
 

吉本興業の拠点

 吉本興業HDは、本店を大阪市中央区にあり、吉本興業などのグループ企業数社も拠点を置いている。東京本部は、新宿ゴールデン街の向かいにある旧新宿区四谷第五小学校に2008年に移転入居。閉校した小学校の活用に加え、新宿区が進めていた街おこしの歌舞伎町ルネッサンス事業の目玉として話題を集めた。

 創業時から展開している劇場は、観光地としても人気のある大阪のなんばグランド花月、東京のルミネtheよしもと新宿のほか、千葉、埼玉、静岡などで12カ所を運営している。沖縄のよしもと沖縄花月は2015年に開業。沖縄出身のガレッジセール・ゴリが座長を務め、地元芸人らが活躍している。

 「吉本総合芸術学院(NSC)」や「よしもと沖縄エンターテイメントカレッジ」といったタレント養成の学校は大阪、東京など全国に7カ所ある。沖縄にはコンテンツ制作、ダンスや演技などのパフォーマンスを学べる専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」もあり、最先端の技術で教育コンテンツを制作・配信する会社「ラフ&ピース マザー」を2019年秋に設立する。

 海外には8拠点を設け、現地企業とテレビ番組や映画の制作、タレント発掘・育成に取り組んでいる。
 

吉本興業の学校運営

 1980年代の漫才ブームを背景にタレントを養成する「吉本総合芸術学院(NSC)」を82年に大阪に開校。1期生からダウンタウンやハイヒールといった人気コンビを輩出する。ナイティナインからフットボールアワー、諸見里大介、ゆりやんレトリィバァなど幅広い世代のタレントを養成してきた。95年には東京NSCを開校し、品川庄司、スリムクラブなどを送り出している。仙台、名古屋、広島、福岡、沖縄と全国に7校を展開している。2008年に設立したスタッフ育成の「よしもとクリエイティブカレッジ(YCC)」は、NSCのビジネスコースとして統合されている。

 コンテンツ制作、ダンスや演技などのパフォーマンスを学べる専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」は09年に設立。高校生から社会人まで受け入れ、マンガやCG、アニメの制作、ダンスや演技、制作技術などを2年間かけて学ぶ。

 お笑い芸人や俳優、ダンサーといったパフォーマーだけでなく、コンテンツ制作者、音響や照明といった技術者に加え、ヴァーチャルリアリティー(VR)やコンピュータグラフィック(CG)などのIT分野まで手掛け、幅広くエンターテインメント人材を育てている。
 

記事紹介:エンタメの技、吉本に学ぶ 「沖縄ラフ&ピース専門学校」開校 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス  

吉本興業の社長はどんな人?

 共同で代表取締役社長を務めていた大﨑洋氏が2019年4月に代表取締役会長となったため、現在の代表取締役社長は岡本昭彦氏のみとなる。09年に社長に就いた大﨑氏は、地域活性化や人材育成、教育コンテンツ配信、海外展開などと多彩な事業を多角的に展開。12年に創業100周年を迎えた吉本興業の「次の100年を見据えた取り組み」を続けている。沖縄への思い入れも強く、09年から毎年開催されている沖縄国際映画祭は赤字覚悟で継続する意志を表明。沖縄には国際映画祭のたび毎年訪れており、エンターテインメントの専門学校を開校し、教育コンテンツ制作・配信会社も設立する。

社長:大崎洋 とはどんな人物?

 1953年生まれ、大阪府堺市出身。78年に関西大学社会学部卒業後、吉本興業入社。大阪本社制作部、心斎橋筋2丁目劇場勤務、東京支社統括ルーム統括プロデューサーなどを経て、2005年に専務に就任。副社長を歴任し、09年から社長。19年4月に会長に就いた。

 1980年の東京事務所開設に携わり、当時のMANZAIブームも支えた。松本人志や明石家さんま、島田紳助、のりよしおらベテラン芸人と若い頃から交流があり、さまざまなプロデュースで芸人らの人気を後押しした。

 09年の社長就任後は沖縄国際映画祭開催、47都道府県にお笑い芸人が住み込み地域を盛り上げる「あなたの街に住みますプロジェクト」、コンテンツ制作技術やパフォーマンスが学べる専門学校「沖縄ラフ&ピース専門学校」開校、19年秋に開業予定の教育コンテンツの制作・配信会社「ラフ&ピース マザー」の設立、海外展開など、芸能事業を中心に経営の多角化にも積極的に取り組んでいる。

 沖縄への思い入れも強く、沖縄タイムスのインタビューでは「国からのお金がなくても完全に自立した沖縄にしたいという思いがある」「島全体で子どもたちや若者の才能を引き出していきたい」と応えている。沖縄国際映画祭は毎回赤字を出していると告白、ただ「沖縄の子たちのために続けようと思っている」と述べている。18年には観光事業に貢献したとして、沖縄県から観光功労者として感謝状を贈呈された。
 

吉本興業の経営方針は?

 「タレントマネジメントを基盤とした、最強のコンテンツ制作会社となる!」を目標に掲げ、芸能プロダクション事業を中心に、テレビ番組や映画、動画、出版などのコンテンツ制作、劇場運営、タレント養成の学校運営と多角的に事業を展開。年間5,000本のテレビ番組制作のほか、2014年にアイドル専門チャンネル「kawaiianTV」を開局し、CS放送やネット配信まで手掛ける。「吉本総合芸術学院(NSC)」や「沖縄ラフ&ピース専門学校」でパフォーマーや制作技術者らを育成し、テレビ番組やDVDなどのコンテンツ制作、劇場演出などに生かすといった自社資源を活用した一貫したマルチユースも展開している。

 10年に吉本興業グループ行動憲章を策定。最良のエンタテイメントの提供、法令等の順守、反社会的勢力の排除、社会貢献、人権の尊重、知的財産の取り扱い、取引先との関係、企業活動の透明性、情報の保全、行動憲章の周知・徹底の10項目を掲げ、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会」の実現を目指している。

 18年には消費者志向宣言も発表し、「お客さまと一人ひとりと同じ目線を持ち、人々が自分らしく生きていける社会をつくっていきたい」と強調。笑いを心のインフラに、質の高いエンターテインメントの創造、お客さまを想いつづけるの3つを取り組み方針とした。2021年3月までに女性の勤続年数平均10年以上を目指す女性活躍推進法に基づく行動計画も実施している。
 

記事紹介:吉本興業の大﨑社長、沖縄観光への功労で表彰 県から感謝状 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス 

記事紹介:大手芸能事務所に労働是正勧告 アミューズ、吉本興業、LDH | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス  

記事紹介:吉本興業がデジタル教育に参入へ コンテンツを制作・発信 10月にも沖縄に新会社 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス  

まとめ

 2019年にホールディングス化し、新たな役員体制となり、これまで展開してきた事業をさらに加速させていく考え。国内地方の活性化から、アジアを中心とした海外需要の取り込みまで狙う。芸能プロダクション事業を核に独自の強みを生かした多様な事業展開で、総合エンターテインメント企業として、グループの発展を目指している。