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F35-ステルス戦闘機の問題点とは?

2019年7月1日 01:00

ステルス戦闘機F35とは

 1990年代にアメリカで開始された戦闘機開発計画であるJSF(Joint Strike Fighter:統合打撃戦闘機)に基づいて開発された。レーダーに映りにくく、敵に気づかれにくいステルス性に優れている最新鋭戦闘機で「第5世代機」と呼ばれる。コンピューターによる情報統合で、専用ヘルメットには機体を透かして360度周囲を見通すことのできるディスプレーも装備。最先端技術が凝縮された機体に、中国やロシアは警戒感を募らせ、脅威となっている。空軍仕様の通常離着陸(CTOL)機F35A、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)機のF35B、空母艦載(CV)型のF35Cがある。

爆音を響かせて離陸するF35戦闘機=2019年4月、普天間飛行場

 航空自衛隊は、当初計画のF35A42機に加え、F35B42機を含む105機を追加し、計147機体制とする方針を決定。2018年1月から三沢基地(青森県)への配備が始まり、2019年3月に第3航空団第302飛行隊が発足。墜落した機体はライセンス契約をした三菱重工業が小牧南工場(愛知県豊山町)で組み立てた1号機だった。米ロッキード・マーチン社製で1機あたり116億円以上という。

 沖縄の嘉手納基地には17年10月から11月にかけ、米本国の空軍35A12機(要員300人)が飛来、6カ月間配備されたのを契機に、こうした長期間の「暫定配備」が繰り返され、騒音など、基地負担を増大させている。普天間飛行場への飛来も確認されている。

 18年9月、短距離着陸・垂直着陸が可能な米海兵隊のF35Bが、米南部サウスカロライナ州で墜落、19年4月、空自三沢基地のF35Aが、青森県沖の太平洋上で訓練中に墜落するなど、安全性への疑念が表面化している。

記事紹介:F35戦闘機2機、嘉手納基地に初飛来 騒音激化懸念も | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス 

 

F35は問題だらけの機体?

 米政府監査院(GAO)は18年6月の報告書で、最新鋭ステルス戦闘機F35について、同年1月時点で966件の技術的問題が見つかったと指摘した。問題点を解決しなければ必要な性能を欠いたままの運用を強いられ、維持費高騰は免れないとして、大量生産に踏み切る前に対処を要求。F35は米空軍嘉手納基地に暫定配備されるなど沖縄にも度々、飛来。海兵隊も県内への配備・展開計画がある。日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機で、今後の調達計画に遅れが出る可能性もあるとの指摘をしていた。

F35Aの前で報道陣の質問に答える米軍=2017年11月、米軍嘉手納基地

 

 F35の弱点

 同報告書は、F35の欠陥を(1)安全性や重要な性能を危険にさらす問題(2)任務遂行に支障を及ぼす問題-に分類。(1)は111件、(2)は855件確認された。(1)については、量産段階までに25件が解決できない恐れがあるとした。

 製造元の米ロッキード・マーチン社は同年4月、F35の開発終了を公表。9月開始予定の1年間の運用試験を経て、来年10月に量産に移行するかどうかを判断する。GAOは「性能が保証されなければ、米国民と米軍は信頼性が不足した戦闘機に対して、より高額な維持費負担を強いられる」として、運用試験前の問題修復を求めた。

 空自は同年1月に三沢基地に、空軍仕様のF35Aを初配備した。日本にとっても調達計画の遅れのほか、導入後の維持費捻出が問題として浮上する可能性がある、と指摘。

 F35を巡っては、開発の遅れや調達費の高騰に加え、最新のソフトウエアなどに問題があると指摘されてきた。

爆音を響かせ伊江島に飛来した米軍のF35B=2018年12月、伊江村西崎

 米オンライン軍事紙ディフェンス・ニュースは19年6月、米軍が保有する最新鋭ステルス戦闘機F35には「13の最も重大な欠陥」があると報じた。米海兵隊のF35Bには、飛行中に一定の速度を超えるとステルス性能を喪失する新たな欠陥などが見つかったなどと指摘している。

 同紙は、F35Bの超音速飛行が可能なのは短時間で、制限時間を超えると機体の損傷や、ステルス性の機能を喪失する可能性があるなどと伝えた。米国防総省はこの問題に対し、超音速飛行の制限で対応しようとしていることから、同紙は、根本的解決法を追求していないと批判している。

 また、ドッグファイト(空中戦)などの特定の操縦法の後、予期せぬ機首の上下変動が起こり、制御が困難となる恐れがあるほか、気温が約32度以上の暑い日に垂直離着陸を行う場合、機体を保つ十分な推力が供給できず、着陸が困難になったり、硬着陸する恐れもあるなどと伝えている。

 米国から同機を購入した諸外国が同機を運用する場合、秘密データが米国に自動的に送信されて、解除できないという重大な欠陥があるとも伝えた。

 F35 の今までの事故 

 18年9月、米南部サウスカロライナ州で、最新鋭ステルス戦闘機F35が墜落した。操縦士は脱出し無事だった。2006年の運用開始以降、F35の墜落は初めて。 

 墜落したのは海兵隊仕様で短距離離陸・垂直着陸型のF35B。ロイターはF35から操縦士が脱出を余儀なくされたケースも初めてだと伝えた。

 レーダーで捕捉しにくいステルス性に優れたF35は米軍の主力戦闘機で、約2600機を調達予定。米軍はF35Bをアフガニスタンで初めて実戦使用していた。

県内基地に初飛来した最新鋭ステルス戦闘機F35B(後方)と、F16戦闘機(手前)=2017年6月、米軍嘉手納基地

 19年5月、前年9月に起きた米海兵隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Bの墜落事故について、米政府監査院(GAO)は、原因は機体の欠陥と結論づけた報告書を公表した。米政府機関が原因を断定した発表は今回が初めて。

 欠陥と判断されたのは、ユナイテッド・テクノロジー社製造のエンジン内部の燃料管。米国防総省などを対象にした調査の結果、「製造上の欠陥により、飛行中にエンジンの燃料管が破裂し、エンジンの出力が失われたと結論づけられた」と指摘。米軍が保有する計245機のうち117機に欠陥が見つかり、部品が交換されたと報告した。

 米海兵隊が2006年に同機の運用を開始して以降、初の墜落事故を受け、米軍は、沖縄を含む米国内外の米軍基地と同盟国が保有する全てのF35の飛行を一時停止して検査を実施。初期調査で、エンジン内部の燃料管に欠陥がある疑いがあるとし、部品の交換などで対応していた。

 19年4月、防衛省は、青森県沖の太平洋上で訓練中に消息を絶った航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aの尾翼の一部が周辺海域で見つかったとして、機体が墜落したと断定、F35Aとして世界初の墜落事故と明らかにした。米国は、深海捜索船「ファン・ゴッホ」を派遣、墜落したとみられる青森県沖の太平洋に到着し、海上自衛隊の艦艇と日本の海洋研究開発機構の海底広域研究船「かいめい」とともに3隻態勢で海底捜索を始めた。米側が自衛隊機の捜索に関与するのは異例。その後、捜索を続けたが操縦士の遺体の大部分と機体の大半が見つかっていない。

 19年6月、空自は、操縦士が平衡感覚を失い、機体の高度や姿勢を把握できなくなる「空間識失調」に陥り、自覚のないまま墜落した可能性が高いとする中間報告を公表した。「機体に異常が発生した可能性は極めて低い」として同型機の飛行を近く再開させた。
 空自によると、嘉手納基地に戻る途中だった米軍機との距離をとるため操縦士は地上管制から指示を受け降下し左に旋回。さらに降下し墜落したとみられる。

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F35の整備国は?

 米海兵隊は16年7月、アジア太平洋地域における戦略や基地運用計画についてまとめた報告書「戦略展望2025」の中で、次期主力機種と位置付ける垂直離着陸型輸送機MV22オスプレイとステルス戦闘機F35の配備を念頭に、沖縄県名護市辺野古や米軍北部訓練場など一帯の整理統合で訓練環境が刷新され、理想の訓練場へ変革すると強調している。

米軍ホワイトビーチで停泊する米海軍の強襲揚陸艦ワスプ(左)=2019年3月、うるま市勝連の米軍ホワイトビーチ

 東村高江周辺に建設されるヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)は、オスプレイの運用を前提としたものだったが、日本政府が初めてその事実を認めたのは2012年だ。

 海兵隊は同報告書の中で、次期主力機種に据えたオスプレイとF35による戦略の強化を強調する一方で、兵士や家族らの生活環境についても言及。

 沖縄県内にあるキャンプ・シュワブやハンセン、伊江島など九つの基地・施設には、最大で3万人の海兵隊員とその家族、数千人の軍属が暮らしており、アジア太平洋地域で最も優れた最新設備を備えた海軍病院もあるなど「小さな市役所」のような役割があると指摘し、整理統合計画は「勤務地で暮らす」環境を追求する地域開発のモデルケースなどと説明している。

 北部訓練場の一部返還計画と新基地建設計画は、海兵隊が誇るオスプレイとF35の理想の訓練環境を追求する計画として描かれており、在沖米軍基地の恒久化を目的としている。

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まとめ

 1機当たり約116億円が見込まれるF35Aは、安倍晋三首相が2018年11月末のアルゼンチンでの日米首脳会談で、大量取得を約束。1基当たり約1224億円以上とされる地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」(2基整備予定)とともに、対日貿易赤字の削減を強く求めていたトランプ氏をなだめるカードとして切った経緯があり、「首相案件」(外交筋)と見られている。一方、米国防総省は墜落事故を受け、今後の原因究明を「注視」(同省幹部)する方針だ。

普天間飛行場に着陸するF35=2018年12月、宜野湾市

 米軍によると、F35は現在、日本を含む導入国で計390機以上が運用され、年末には500機近くになると見込まれている。既に採用を決めた国は日本のほか、イギリス、トルコ、ノルウェー、イスラエル、韓国など10カ国を超え、米政府はさらにギリシャやポーランドなど売却先を広げる方針だ。

 ただ、米政府監査院(GAO)の報告書によると、F35には2018年時点で966件の技術的問題が見つかった。うち111件は安全性や重要な性能を危険にさらす問題、855件は任務遂行に支障を及ぼす問題に分類され、量産段階までに25件が解決できない恐れがあると指摘されている。日米の貿易交渉とも絡み、安全性の担保がないまま、日本はF35の大量購入を迫られる構図にもなっている。

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