大戦争の結果、文明が崩壊した地球。人々は猛毒を生み出す菌類の森と蟲(むし)におびえ、生きた-。アニメ映画「風の谷のナウシカ」で、宮崎駿監督の世界に引き付けられた

▼「ナウシカ」の成功後、宮崎監督らによって設立されたのがスタジオジブリだ。その創作の現場を資料で披露する「ジブリの大博覧会」を県立博物館・美術館で見た。30年余の歴史の中で制作した映画のポスターや原画、企画書など約3千点を展示する。「ナウシカ」の世界もリアルに再現されている

▼展示された肉筆の資料からは、作品が生み出されるまでの関係者の力の入れようや格闘の跡が見て取れる。並大抵では秀作はできないと実感する。ポスターに公開時の自らを重ねて見入った

▼宮崎監督は名護市辺野古への新基地建設反対運動を支える「辺野古基金」の共同代表の一人でもある。久米島町では子どもたちの交流拠点施設建設のために私財を投じるなど、沖縄への思いも深い

▼それら作品や行動の底流には、自然や命を貴び、慈しむという哲学やメッセージがあるように思える。立場が決して強くない人に目を向ける温かさも

▼宮崎監督は現在、いったん表明した引退を撤回し新作長編を制作中だ。78歳の衰えぬ創作意欲に驚嘆する。大きな足跡を残すジブリ作品の世界に浸りつつ、巨匠の新作を心待ちにしたい。(内間健)