天気の変化は人の体調を左右するが、異常気象ともなると社会のありようにまで影響を及ぼす。気象予報士の原田龍彦さんは著書「天気とカラダの不思議関係」で、冷夏による飢饉(ききん)から多くの賢人が生まれたと書いている

▼天明の大飢饉(1782~87年)のさなかに生まれた二宮金次郎は、43歳で再び天保の大飢饉(1833~36年)に見舞われ、倹約と勤勉を説き、日本人の精神的気質を形づくった

▼同じ江戸期の名僧で仏教を広めた鈴木正三や生涯学習の先駆者とされる石門心学の祖、石田梅岩もまた冷夏や不況の中から生まれ出たという

▼そこまでの天候不順ではないものの、今年の日本列島は曇天続き。東京都心の1日当たりの日照時間は16日まで20日間連続で3時間に満たなかった。梅雨寒で野菜が高騰し、夏物商戦は低迷している

▼26年前の1993年は冷夏が深刻だった。台風の多い年にも重なり、天明・天保の大飢饉以来の凶作と言われた「平成の米騒動」はタイ米などを大量に輸入する事態に。その再来は勘弁願いたいが、天気ばかりは人知が及ばずコントロールできない

▼きょうは多くの小中高校の終業式。あすから待ちに待った夏休みが始まる。これからの社会を背負って立つ子どもたちが、一回り成長するひと夏の経験。どんよりとした空模様は似合わない。(西江昭吾)