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「飛行機さえあれば、もっと」 小規模離島は空路を渇望 観光や経済振興に「伸びしろ」

2019年7月20日 18:30

「争点」の足元で(5)空路の再開

 沖縄の離島に暮らす人々にとって飛行機は、なくてはならない「振興策」の一つだ。

 ヒット映画「洗骨」の撮影地・粟国島。今年1月の県内先行公開後に観光客が増えた。4〜6月は船便だけで計1153人に上り、月別統計の残る2011〜18年同期平均968人(空路利用客含む)を200人近く上回った。

 劇中のブランコや「この世とあの世の境目」がどこにあるかを尋ね、ロケ地を巡る人たちも。村地域おこし協力隊で観光振興を担当する寺井絵美子さん(26)は実際に案内した。「飛行機さえあれば、もっと観光客は増える」と話す。

 那覇−粟国の交通手段は、航空便が15年に粟国空港で着陸失敗事故を起こして現在は運休している。乗客定員5人の代替ヘリは月15往復限りで予約しづらい。1日1往復で片道約2時間20分のフェリーは荒天で欠航しがちで旅の予定を立てにくい。

 寺井さんは「船酔いがひどく、病院通いを諦めるお年寄りもいる」と人口705人の島の実情を語る。

 国内最南端の有人島、竹富町波照間島でも事情は同じだ。石垣−波照間の航空便は07年から運休が続いている。再開計画があったが、就航を考えていたのは粟国空港で事故を起こした航空会社で実現していない。15年に新築した空港ターミナルを使う航空便は今もない。

 空と海が溶け合うような“波照間ブルー”を望むビーチ「ニシ浜」が有名な観光地の島には昨年、人口513人の77倍に当たる観光客3万9478人が訪れた。移動はほぼ全員が石垣−波照間を片道60〜80分で結ぶ高速フェリーを利用する。荒天の続く冬場は欠航率が40〜50%にも上るため、航空便の就航による「伸びしろ」は大きい。

 18年12月には石垣−波照間の貨客船が故障、運休して島の食料品やガソリンなどの物資が底を突く事態に陥った。物流の不安定な島の人口はピークだった1963年の1425人から3分の1に落ち込み、「産業や教育、地域の活動などが衰退している」と危ぶむ声もある。

 波照間製糖に勤め、黒糖を使う商品開発・製造にいそしむ冨底義充さん(39)は「政治的に解決できる問題なのか分からないが、空路があればストレスなく島を出入りできる。航空便の再開は島に関わる皆のためになる」と、生まれ島の再生を切実に願う。

(社会部・砂川孫優、南部報道部・堀川幸太郎)

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