◆沖縄県歯科医師会コラム「歯の長寿学」(282)

イラスト・いらすとや

 歯科診療所の日々の診療でさまざまな患者さんが来院されます。その中から今回3症例についてご紹介します。

 【症例(1)】70代の男性。特に持病等はなく、歯茎と入れ歯の治療が主でした。しばらくぶりに来院し「口の中が荒れている。出血もあるから診てください」との申し出でした。お口の中は確かに荒れていました。また、顔にも腕にもアオタンがあり、これは尋常ではないと判断し、那覇市立病院に搬送を行いました。病院での診察の結果「血小板減少症」と診断され、即日入院、あと1日遅ければ命に関わることになっていたとのことでした。これはまれなケースですが「病診連携」の必要性を感じさせられた症例でした。

 【症例(2)】最近の口腔(こうくう)癌(がん)への関心が高まり、患者さんたちの中には、舌や頬っぺたが気になる患者さんがいます。その中でたまたま「白板症」という粘膜疾患を発見でき、病院の口腔外科との連携で適切な処置に移行できました。「白板症」とは、前癌病変と言って、これから先、癌化する可能性の高い疾患で、早期発見早期治療が大切といわれています。この症例では、歯科粘膜疾患の啓発ならびに治療の周知の必要性が、とても重要だと考えさせられました。

 【症例(3)】ある日の診療終了間際、小学校高学年のお子さんとお母さんが真っ青な顔色で来院しました。聞いたら今部活中でバットが歯にぶつかったとのこと。急いでお口の中を診察すると、前歯が2本折れていました。そこで急きょ神経の処置と仮歯の処置を行い、今後は残念ですが、「さし歯」にしなくてはならないと伝えて、それから約2か月かけて治療を終えました。もし、スポーツ用のマウスピースを使用していたらと、残念で仕方がなかった思いでした。

 歯科診療所には、さまざまな患者さんが来院されます。何でも相談ができる「かかりつけ歯科医院」をもつことは、患者さんにとっても歯医者さんにとっても大切です。(長嶺義一郎 イチロウ歯科 那覇市)