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「注文間違えても大丈夫」 客も会計手伝う 認知症の人が働く「注文をまちがえる喫茶店」 地域で支え認め合う社会へ

2019年7月25日 05:00

 23日午前11時、チキンやいなりずしを販売するオイナリアンぎのわん本店。出勤スタッフの高齢者8人中6人が身支度に時間がかかって間に合わない中、予定通りに「注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店」が開店した。友利ヨシさん(87)=浦添市=は得意のカチャーシーを舞い、「いらっしゃいませ係」として開店待ちで列をなす客を歓迎。認知症の影響で、開店前は数分ごとに「ここ、どこ?」と口にした不安げな表情は次第に輝いた。

来店した子どもたちの注文を聞き、代金を受け取る認知症の高齢者(右)ら=23日午前、宜野湾市大山(国吉聡志撮影)

 近所の保育園児などひっきりなしの客に、地域の介護施設利用者から募った80~90代のスタッフは注文受け付けや袋詰め、会計とてんやわんや。「間違えても大丈夫」。自信を失いそうな時は、ボランティアサポーターが気遣った。

 チキンを頼んだはずがいなりだったり、チキン1個のはずが3個だったり。おつりも硬貨1枚ずつ手のひらに取り数えるため時間はかかり、思わず一緒に計算を手伝うお客さんもちらほら。業務を忘れ、何度も帰ろうとするスタッフもいて店内の笑いを誘った。

 開店は午後2時まで。開催のため集めた寄付から「お手当」も出る。一休み中の注文係、玉元ヨシさん(95)=同市=は「ああ、楽しかった」と笑顔を見せつつ、ふと「あれ、今何していたんだっけ」と一言。通所先の小規模多機能ホームあんの職員、ノダ知加子さん(45)は「接客業で生計を立ててきた彼女はとても生き生きしていた」と語った。

 認知症の理解促進などが目的の「注文をまちがえる料理店」は2017年、東京で始まった。県内開催を2年準備し、協力者を集めてきた実行委員長の元(もと)麻美さん(43)=読谷村=は「認知症の方々が外出する機会になれば」と願う。

 18歳で介護職に就くと同時に第1子を妊娠。仕事三つを掛け持ちして3人の子どもを育て、経済的に厳しい中で自らは3日間食事を我慢したことも。「地域の支えで子育てできたからこそ、認知症に限らず他人を認め許し合う優しい輪をつくりたい」と話す。

 定休日の23日に臨時開店を決めたオイナリアンの吉里時浩代表は「単発で終わらず定期的に開きたい」と話す。衛生面に配慮し調理は同店店員が担当。家族で訪れた嘉手納中3年の奥間ひよりさん(14)は「やりとりが楽しく自然と笑顔になった。自分もサポートしたくなった」と笑った。

 実行委は寄付や、参加希望の高齢者に若年性認知症の人、サポーター、協力店舗などを募る。問い合わせは元さん、電話090(7292)4431。(社会部・篠原知恵)

 
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