社説

社説[増える認知症高齢者]誰もが当事者の視点で

2019年7月25日 07:34

 65歳以上の高齢者の7・6人に1人が認知症を患っているという。認知症は歳を重ねれば誰でもなる可能性のある身近な病気だ。認知症になっても尊厳を持って暮らせるようわがこととして向き合いたい。

 県内で介護保険サービスを利用するのに必要な要介護・要支援認定を受けた高齢者のうち、認知症と判定された人は3月末現在で、4万1343人となり初めて4万人台を超えた。

 要介護・要支援認定者に占める割合は7割以上だ。

 一方で、40~64歳の若年性認知症とされる人も前年比44人増の1216人だった。

 沖縄は総人口に占める高齢者の割合が、2018年に21%を超え、超高齢社会に突入した。今後、要介護認定者も、認知症高齢者も右肩上がりに増加することが予測される。

 認知症は病気が進行すると買い物や金銭管理、意思疎通が難しくなり、理解力や判断力が衰え、日常生活や社会生活に大きな支障が出る。

 認知症かその疑いが原因で行方不明になり、県警に届け出があったのは18年、110人と増加傾向が続いている。

 虐待されている高齢者の多くが、認知症患者だというデータもある。

 認知症に対する知識不足から、「何もできなくなってしまう人」という偏見や誤解も多い。

 そうした中、認知症の人が尊厳を持ち、生き生きと暮らしていくために、地域でできる役割を模索するユニークな試みが始まった。 

    ■    ■

 「ときどき注文を間違えるかもしれない」

 接客スタッフは全員、認知症の人たち。あらかじめお断りを掲げる、その名も「注文をまちがえるゆいまーるな喫茶店」活動だ。スタッフも客もやりとりを楽しみ、笑顔が広がっている。

 趣旨に賛同する宜野湾市などの飲食店が協力した。実行委員長の元(もと)麻美さんは「認知症の方の家族はほとんどが、心配して外出させることを避ける傾向がある。地域の子どもや若者と交流すればお互いの顔が分かり、地域全体が優しく、明るくなれる」と話す。

 認知症患者や家族を自分のできる範囲で手助けする「認知症サポーター」の育成も学校や自治会などで進む。しかし、関心が高いとまでは言えない。

 認知症の人が社会的に孤立しない環境を整えるには、病気への理解を深めることが欠かせない。

    ■    ■

 政府は先月、認知症対策を強化するため25年までの施策を盛り込んだ新たな大綱を決定した。患者が暮らしやすい社会を目指す「共生」と「予防」を2本柱に据えている。

 高齢者が地域の公民館などで体操や趣味を楽しむ「通いの場」の拡充を重点政策の一つに位置づけた。

 全国では団塊世代全員が75歳以上になる25年には、認知症高齢者は5人に1人なるといわれる。高齢者の貧困対策も課題となる中、国の包括的な支援と地域のサポート体制の構築が急務だ。官民で知恵を絞りたい。

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大城勝史
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