大阪市の「助産院ばぶばぶ」で院長を務め、全国各地で性教育の授業や講演を続けている助産師のHISAKO(本名・黄瀬寿子)さん(45)が来年4月、うるま市の平安座島に助産院を移転・開設する。自身も21歳から2歳までの4男7女を育ててきた母。出生率が全国一で子だくさんな一方、若年出産が多く離婚率も高い沖縄で「人知れず育児に悩むママたちの支えになりたい」と描く。(学芸部・新垣綾子)

来年4月、平安座島に助産院を開設予定の(左から)MARKさん、HISAKOさん夫妻と七女の憧音(とと)ちゃん=24日、那覇市・沖縄タイムス社

「助産院ばぶばぶ」で母子と触れ合うHISAKOさん(右から2人目)。豊富な育児経験と明るい人柄を慕い、遠隔地からの訪問や相談も多い=2018年、大阪市(本人提供)

来年4月、平安座島に助産院を開設予定の(左から)MARKさん、HISAKOさん夫妻と七女の憧音(とと)ちゃん=24日、那覇市・沖縄タイムス社 「助産院ばぶばぶ」で母子と触れ合うHISAKOさん(右から2人目)。豊富な育児経験と明るい人柄を慕い、遠隔地からの訪問や相談も多い=2018年、大阪市(本人提供)

 HISAKOさんは看護師・助産師の資格を取った後、総合病院やクリニック勤務を経て2006年に助産院を開設。産前産後の女性たちを中心に、乳房ケアや母乳育児支援をはじめ、子の成長や夫婦関係などの悩み相談に乗ってきた。

 「いのちの授業」と題した小中高校での性教育や、自治体主催の講演などでも積極的に経験を発信する。夫で助産院代表のMARK(本名・黄瀬正道)さん(59)と一緒に進める授業では、大阪仕込みのユーモアを織り交じえ、リアルに真剣に性や命の尊さを語る。「日本は性やセックスの話題に閉鎖的だから、子どもたちは悪いことだと隠そうとし、何が正しいのか知らない。僕は大きな声で『おっぱい好きですか?』と聞くし、夫婦の性生活もオープンに話す」とMARKさん。

 なぜ、平安座島なのか。HISAKOさんは理由の一つに2年前に鹿児島県の離島で出会った、中学3年の少女の存在を挙げる。

 いのちの授業で複数の中学校を巡回した時のこと。派手な髪形とメーク、いくつものピアスを光らせ現れた少女は、授業を終えるとHISAKOさんに「自分を理解してくれるかもしれない。話したい」と望んだ。連絡先を交換しやりとりすると、複雑な多子世帯で育ち、聡明(そうめい)だが寂しさを異性関係で紛らわせている身の上を知った。「行き着く先に浮かぶのは、望まない若年妊娠だった」と、やるせない思いが募った。

 助産師であると同時に11人の出産・育児に奔走し、MARKさんとの再婚までシングルマザーだった自分だからこそできることは何か。そう自問した時「沖縄に呼ばれている気がした」と話す。大阪は支援者も情報も豊富。「それなら都市部ではなく、より支えが必要な子だくさんの地域で、孤独感を抱える母親たちが気軽に立ち寄り、笑顔になれる空間をつくりたい」と考えた。

 適地を探すうち、豊かな自然と温かな地域住民にひかれ、たどり着いたのが平安座島だった。「誰もが幸せな妊娠・出産を迎え、自信と誇りを持って人生を歩んでいけるように、私たちの思いを子どもにも大人にも伝えたい」。来春、家族9人で移住し、開院する計画だ。

 助産院や講演などの問い合わせは、電話0120(540)524。メールsupport@babu‐babu.org