石垣市中心部の歓楽街「美崎町」の治安悪化に住民たちが悩まされている。同町は居酒屋やスナックなど約300店舗がひしめく。数年前から悪質な客引き行為が常態化し、マナーの悪い運転や違法駐車、路上寝も多く、地域住民の不安が深刻化しているという。こうした事態に八重山署(島尻重美署長)は4月から、本格的な地域の環境浄化対策に乗り出した。署内全ての部署が関わる過去に例がない大掛かりな取り組みで、同署は「実態を解明し、反社会的勢力の進出を未然に防ぐ。観光地にふさわしい、健全な美崎町を取り戻す」と意気込む。(八重山支局・粟国祥輔)

スナックなどが軒を連ねる美崎町の歓楽街=30日午後11時30分ごろ、石垣市

美崎町の歓楽街を巡回する警察車両=30日午後11時10分ごろ、石垣市

スナックなどが軒を連ねる美崎町の歓楽街=30日午後11時30分ごろ、石垣市 美崎町の歓楽街を巡回する警察車両=30日午後11時10分ごろ、石垣市

 同署が23日、署長名で報道機関に送った文書には(1)客引き(2)防犯(3)暴力団等(4)交通-の各対策が示されていた。金城太副署長は「署を挙げた異例の取り組みだ。それだけ危機感を持っているということだ」と説明した。

観光地化一因か

 「観光客が増大した一つの弊害だと思う」。美崎町自治公民館の60代男性は歓楽街の治安悪化の背景をこうみる。 

 2018年の市入域観光客数は約137万人。新石垣空港開港前年の12年の約70万人から約2倍に増えた。本土資本による新しい形の店舗も増えた。地元の店と比べて割高な料金で提供しているところが多く、往時を知る人からは「島が観光地化したな」と言われるという。

 次第に地域の治安が悪化するようになり、2、3年前からは悪質な客引き、法外な代金を請求する「ぼったくり」行為をよく見聞きするようになったという。この男性は「観光客らに敬遠されるようになったら大変だ」と危惧する。

 自治会員の大半は美崎町で商売する居住者でもある。深夜騒音などのマナー違反にも耐えているのが実情で「店には営業時間などのルールを守ってほしい。自治会にも入ってもらえたら」と訴える。

 タクシーの営業活動にも支障が出ている。運転手歴20年の男性(60)は通行の妨げになっていた客引きの男を注意したところ、逆に向かってきて暴言を吐かれたという。「美崎町は変わった。今は怖くて行けない」と嘆く。

薬物摘発増加も

 八重山署は5月に客引き行為の疑いで男2人を逮捕。7月には風俗案内所経営の男を強要未遂容疑で逮捕した。交通の妨げとなる路上寝は26日現在で昨年より30件多い331件。6月10日現在で昨年を上回る駐車違反28件、飲酒運転8件が摘発されている。

 薬物所持などの疑いでも6件5人を摘発した。昨年1年間の5件3人をすでに上回り、種類も大麻、コカイン、覚醒剤に及ぶ。入手経路は捜査中だが、容疑者は全てここ数年の間に移住した県外出身者という。

 同署は店舗自らが反社会的勢力を拒む取り組みも推進する。資金源となる「みかじめ料」について「縁切り隊」の結成を呼び掛け、約50店から賛同を得た。物件を持つ不動産業者に出向いて、排除条項を契約に盛り込むことを要請した。金城副署長は「あらゆる方面から治安回復に取り組んでいる。実態を解明し、地域住民の不安の解消に努めたい」と力を込めた。