首里高等女学校4年で沖縄戦に動員された元瑞泉学徒・宮城巳知子(みちこ)さん=享年(89)=の娘婿、成井俊美さん(66)らが、宮城さんの体験を実写化した短編映画の製作に向けて準備を進めている。戦後74年がたつ中、映像作品を残すことで、日常から戦場へ「根こそぎ動員」された元学徒の体験を後世に伝えるのが目的。成井さんは「当事者の目線で描き、沖縄戦の実相を広く伝えたい」と話す。(社会部・新垣卓也)

県内の小学校で自身の体験を語る生前の宮城巳知子さん=2007年

成井俊美さん

宮城巳知子さんの体験に基づいて製作されたプロモーション動画の一場面。動画はQRコードから(成井さん提供)

県内の小学校で自身の体験を語る生前の宮城巳知子さん=2007年
成井俊美さん 宮城巳知子さんの体験に基づいて製作されたプロモーション動画の一場面。動画はQRコードから(成井さん提供)

 第62師団野戦病院に配属された瑞泉学徒は、南風原村新川(当時)のナゲーラ壕や浦添村仲間(同)の分室に動員され、学徒61人中33人が戦死した。

 宮城さんは1944年、汽車から10・10空襲の様子を目撃し、翌年の動員後は激戦地だった前田高地近くの分室にも派遣された。学徒隊の解散命令後、毒ガスと炎で入り口がふさがれた壕の中から脱出し、九死に一生を得た。戦中、学友らの死も目の当たりにした。

 映画製作のきっかけは、造形作家でもある成井さんが挿画を描いた宮城さんの手記「ずいせん学徒の沖縄戦」。これを読んだ映像プロデューサーの田林憲治さん(65)=東京都=が実写化を持ち掛けた。語り部として体験を伝えてきた宮城さんの証言を残そうと、成井さんも賛同し、企画を練ってきた。

 有名監督の映画製作にも携わった経験がある田林さんが監督・脚本を務め、オーディションなどで出演者やエキストラを集めて沖縄で撮影する予定だ。2020年中の完成を目指し、DVDの貸し出しや販売を計画している。英語版やウチナーグチ版の製作も視野に入れる。

 成井さんは「少年少女たちが国策による戦争に巻き込まれた史実は、今後も伝え継がないといけない。県内外の子どもたち、世界にも沖縄戦を知ってほしい」と意義を語った。

 今後は映像製作委員会や製作会社を立ち上げ、「他の学徒隊の体験に基づく映像作品も手掛けたい」と展望を描く。

 宮城さんの証言を基に、ナレーションや成井さんの絵、コンピューター・グラフィックス(CG)で構成したプロモーション映像が完成し、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されている。

 映画製作に向け、クラウドファンディングなどを活用して資金を集め、寄付も募る。問い合わせは成井さん、電話090(1838)1838。