【那覇】市安里の栄町市場にあり、多くの人たちに親しまれてきた総菜屋「小さな店 そうざいや ときちゃん」が7月26日、惜しまれつつ閉店した。店主の親川トキ子さん(79)=市安里=は、閉店を機に栄町を「引退」する。トキ子さんは50年を越える市場での生活を振り返りながら「これからはウオーキングしたり、裁縫をしたり、好きなことを楽しんでいきたい」と語った。

常連客と談笑する親川トキ子さん(右端)=7月26日、那覇市安里・栄町市場

 「ときちゃん」は18年前に開店。三枚肉の煮付けやチャンプルー、天ぷら、アンダンスーなど沖縄の家庭料理をお手頃価格で販売してきた。全て手作りで、材料は市場で売られている肉や野菜を使っている。看板に掲げられているジーマーミ豆腐は県外からも多くの観光客が買い求めた。

 店に自分の名前を付けた理由を尋ねると、トキ子さんは「店を開く時に保健所に申請しに行ったら、登録には店の名前が必要で。まだ決めてなかったから慌てて自分の名前を入れたの」と豪快に笑いながら教えてくれた。

 トキ子さんは55年前、栄町で卵や駄菓子を販売する店を開店。それからは、沖縄そばと冷たいぜんざいを提供する「ヤング食堂」、沖縄の家庭料理が楽しめる居酒屋「むんじゅるー」を開き、栄町の人たちに愛されてきた。「料理を作るのが好きなの」とトキ子さん。最終日の26日も3つのコンロをフル回転させながら複数の料理を同時に作っていた。

 トキ子さんは2、3年前に転び足腰を痛めたことで、ずっと立っているのがつらくなってきたという。当初は一緒に店を営んできた娘の我如古瞳さん(57)に店を引き継ぐことも考えたが「様子が気になって見に行ってしまう」と一緒に店を卒業することを決めた。

 瞳さんは「(トキ子さんは)中学を卒業して今帰仁から那覇に出てきてずっと頑張ってきた。これからは好きなことを楽しんでもらえるようにサポートしていきたい」とねぎらった。

 26日は多くの常連客が総菜を求めにやってきた。「ときちゃんご苦労さま」「もう食べられないと思うとさみしい」と声を掛けられたトキ子さんは「みんなが惜しんでくれて本当にうれしい。毎日が楽しかった」と晴れやかな表情で話した。