子どもたちは楽しい夏休み真っ盛り。ただ、宿題もどっさり待ち構えている。小学生のリストを見て驚いた。自習ノート20ページ以上、ドリル、音読、リコーダーの練習、工作、読書と感想文、自由研究、コンクールへの応募

▼気が遠くなりそうだ。なぜ子どもは勉強しなければならないのか。親の転勤で東京にいた中学時代、教師がこう言っていた

▼「宇宙飛行士は物理、お医者さんは生物、外交官は英語が必要だよね。いろんな教科を学ぶのは、未来を広げるため。君たちは何にでもなれるよ」。子ども心に納得した記憶がある

▼数年前、ある娘がママから聞いた言葉のツイートが反響を呼んだ。お茶が入ったコップを置き、国語は「透明なコップに入った濁ったお茶」、算数は「200ミリリットルのコップに半分以下残っているお茶」、社会は「中国産のコップに入った静岡産のお茶」とみる。学べば視点や価値観が多様化し、心が自由になる

▼村上春樹さんの「ノルウェイの森」でヒロインが、英語の仮定法現在と仮定法過去の違いを学ぶことが、何の役に立つのか尋ねる。主人公は「役に立つというより、物事を体系的に捉える訓練になるんじゃないかな」

▼学ぶ理由は一つではない。「なぜ学ぶか」と問うことに、親や教師の学びがある。夏休みは、子どもに伝える言葉を探す機会でもある。(吉田央)