15〜39歳の思春期・若年成人を表すAYA世代と小児のがん患者支援について考える講演会が1日、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センターであった。全国がん患者団体連合会理事長で、悪性リンパ腫患者会グループ・ネクサス・ジャパンの理事長も務める天野慎介さん(45)=横浜市=と、妻でネクサス理事の多和田奈津子さん(47)が自らの闘病経験を交えて若年世代特有の悩みを解説。希少がんにかかるケースが多く、治療や支援の蓄積が少ない課題などを踏まえ、長期にわたるケアや患者が望むサポートが重要だと訴えた。

フロアからの質問に答える多和田奈津子さん(中央)と夫の天野慎介さん(右)=1日、南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター

 琉球大学医学部付属病院がんセンターが主催し、約50人が参加した。

 天野さんは厚生労働省の検討会資料を基に、AYA世代が治療内容や経済的負担に加え、自分の将来や仕事、学業など多様な相談ニーズを抱えながら「相談できなかった」とする割合が少なくない現状を指摘。特にセックスや恋愛、結婚など私的でデリケートな項目は、7割を超えると説明した。

 自身も27歳で血液がんの一種、悪性リンパ腫を発症し、2度にわたり再発した。傷ついたのは「若い人は進行が早い」「若いのになぜ」といった周囲からの言葉。当初の抗がん剤治療が奏功せず、不妊のリスクが高い大量化学療法に移行した際には「子どもが欲しい女性とは結婚できない。生きている意味あるのかな」と落胆した。

 孤独を和らげたのは、同じ病気の仲間たち。インターネットの掲示板でつながり勇気づけられたという。東京都や石川県にあるがん患者・家族の交流拠点を紹介し、経験者同士で支え合う「ピアサポート」の重要性を呼び掛けた。

 多和田さんは16歳の時に甲状腺がん、25歳で悪性リンパ腫を患った。就職や出産、長生きなど「何もかも諦めていた」という日々から、経験を患者支援に生かす現在までの道のりを振り返った。

 20年以上再発はないが、放射線や投薬治療の影響による後遺症があり、晩期合併症への不安を抱える。最初のがん発症が若かったためその後民間保険に入れず、自分の貯金で2次がんなどに備えていることも説明し「AYA世代はその後の人生が長い。多様な悩みについて柔軟にネットワークや交流ができたらいい」と強調した。

 「『患者本位』という言葉を聞くが、(行政の)会議などに当事者がいないことがある。当事者なしで話が進まないように、リアルな声を取り入れて」とも要望。患者・家族や医療の専門職だけでなく、教育や企業、メディアなどを含め「オールスクラムでAYA世代のがんに取り組んでほしい」と訴えた。