沖縄タイムス+プラス ニュース

「魂の飢餓感」は今も… 翁長前知事の死去から1年 沖縄で生き続ける言葉

2019年8月8日 04:50

 翁長雄志前沖縄県知事=享年(67)=が膵臓(すいぞう)がんで死去して、8日で1年になる。その11日前に表明した名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認の撤回で一時的に工事は止まったものの、撤回の効力は取り消され、工事が進んだ。県が国を提訴するなど、争いは続いている。

翁長雄志前沖縄県知事

 在任中の知事の死去は県政史上初めてで、県民に衝撃が広がった。昨年9月30日の知事選では翁長氏の遺志を引き継ぐと訴えた玉城デニー知事が当選を果たし、県政を担っている。

 ことし2月の県民投票では投票者数の7割以上が、辺野古の埋め立て工事に反対の意思を示した。民意を背景に玉城知事は「対話によって解決策を探るのが、本来の民主主義の在り方」と日米両政府に協議の場を設けるよう働き掛けるが、実現していない。

止まらない工事、対立続く中で…

■関連本が異例のヒット

 「この1年で関連本の販売数が伸びて驚いている。沖縄の政治家でこの人気は異例だ」。前県知事の翁長雄志さん(享年67)が亡くなり8日で1年になるのを前に、沖縄本を扱う那覇市内の書店担当者はこう口をそろえた。「本当の民主主義とは何か、沖縄から発信していく」と知事在職中に注目された発言をつづった書籍は今も高い人気だ。書店では没後1年で特集コーナーを設ける動きもあり、関連本が再び脚光を浴びそうだ。(社会部・砂川孫優)

ジュンク堂書店那覇店に並ぶ翁長前知事の関連書籍

 ジュンク堂書店那覇店では常設の「基地問題コーナー」に6種類の翁長さん関連本が並ぶ。死去後は翁長さんの著書が数日で完売したほか、知事選出馬時から死去までの主要発言をまとめた「沖縄県知事翁長雄志の『言葉』」(沖縄タイムス社発刊)が重版されるなど、1年で関連本の販売数は約2千冊を超えた。

 森本浩平店長(44)は「政治家の本がこれだけ求められるのはまれ。沖縄を訪れた観光客も購入するなど、沖縄イコール翁長前知事のイメージが全国に根付いている」と振り返った。

■生前の「志」

 リブロリウボウブックセンターでは、30~40代の男女が基地問題の本と同時に購入するなど幅広い客層が手にしている。郷土史担当の宮里ゆり子さん(36)は「亡くなる直前まで県知事として働いた翁長さんの言葉は人々を考えさせる。1年を機にまた本を手にとってほしい」と話した。

 一方、昨年10月から今年2月には翁長さんの発言を新聞記事で振り返る「沖縄県知事翁長雄志の『言葉』展」(沖縄タイムス社主催)が県内や東京で開催され、多くの人々が生前の「志」に触れた。

辺野古新基地反対の県民大会で演説する翁長雄志前知事=2015年5月17日、那覇市・沖縄セルラースタジアム那覇

 開催時のアンケートには豊見城市に住む女性(13)が「亡くなるまで沖縄の平和を願い、尊敬しています。ゆっくり休んで沖縄のことを思い続けて下さい」と記したほか、宜野湾市に住む女性(34)は「県民に寄り添う姿に何度も心を奮い立たせてもらった。知事の伝えた心を受け継ぎ後世に伝えたい」と感想を寄せた。

 県内出版社ボーダーインク編集者の新城和博さん(56)は「翁長前知事はオール沖縄というムーブメントの中心人物で平成の沖縄を代表する政治家。死去後は翁長さんの思想や言葉を考えるために本が読まれている」と評した。

沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」

沖縄タイムス社 (2018-09-13)
売り上げランキング: 64,807

もっと詳しく。有料会員ならこんな記事も読めます。

 「やばい、知事の遺言が残ってた」動揺する記者 急転直下、裏取り急ぐ

 名護のトラウマ 沖縄知事選「接戦」報道に疑念 予想的中した現場感覚

 「なぜあんたが出ない」革新側に吹き続けたすきま風 宜野湾市長選の舞台裏

購読者プラン/デジタル購読者プランの会員なら、電子新聞も有料記事も読み放題! 

前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
きょうのお天気