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新基地建設巡る抗告訴訟 「裁決は違法」「承認撤回は適法」県主張の要旨

2019年8月8日 19:30

 名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て承認の撤回で、県が撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求め、提訴した。訴状では「裁決は違法」「承認撤回は適法」「県には訴える資格があり、訴えの内容は裁判で審査されるもの」などと主張している。要旨をまとめた。

国は審査請求できず

裁決の違法性

 名護市辺野古の埋め立て承認撤回で、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づき審査請求し、国土交通相が認めた裁決は違法である。

 行政不服審査法では、一般私人が立てないような「固有の資格」で処分を受けた場合、行政不服審査の請求はできないとしている。公有水面埋立法では、埋め立て承認に係る処分は国の機関のみが受けることができる。

 また、本件埋め立て事業は、日本と米国との条約に基づくもので、一般私人が行えるものではないことから、沖縄防衛局は「固有の資格」で処分を受けたと言える。よって、審査請求の適格を欠くことは明らかだ。

 仮に沖縄防衛局が審査請求できる立場にあっても、埋め立て承認を撤回したのは謝花喜一郎副知事であることから、審査請求先は副知事の最上級庁(上の立場)の知事である。

 国交相は、審査庁ではないにもかかわらず、裁決を行った。また、国交相は埋め立て事業を推進する内閣の一員であり、判断権者の公正・中立という行政不服審査制度の前提が欠落していることからも、裁決は違法だと言える。

承認時と事情異なる

撤回の適法性

 県の承認撤回は適法であり、それを取り消した国交相の裁決は違法である。

 2013年12月の埋め立て承認後の大浦湾側の土質調査で、承認の前提となった土質とは全く異なる軟弱地盤だと判明した。

 仮に設計概要の変更で地盤を改良するにしても、大規模で大深度に及ぶ工事にどれだけの年数を要するのか、定かでない。辺野古新基地建設完成まで長い年数がかかり、普天間飛行場の長期固定化につながる。公有水面埋立法で承認の要件とする「埋め立て地の用途に照らして適切な場所」に適合しないと認められる。

 また、大浦湾側に活断層の存在が指摘されていること、埋め立て区域周辺の建築物などが米国防総省の統一施設基準の高さ制限を超過していること、辺野古新基地が完成しても、他の条件が満たされなければ普天間飛行場が返還されないことが、承認後、新たに判明した。公水法の災害防止への配慮や環境保全措置も不十分と言わざるを得ない。

 撤回後、知事選や衆院沖縄3区補選、参院選で辺野古移設反対を訴えた候補が当選した。2月の県民投票では、投票総数の7割を超える43万4273票が辺野古埋め立て工事の反対票だった。撤回は県民の支持を得ている。このような理由から、撤回は適法である。

自治の侵害 解決必要

提訴の適法性

 この訴訟の適法性について、「法律上の争訟」(裁判所の審判の対象)になるかどうかは(1)当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争で(2)法律の適用で終局的に解決できるもの-が要件となる。

 国交相の裁決で県の承認撤回の効力が消滅するかどうかについて、具体的な法律関係の紛争があり、裁判所の判断で解決が可能であることから「法律上の争訟」に該当する。

 また、原告適格について行政事件訴訟法9条は「法律上の利益を有する者」に限り提起できると定めている。最高裁では「当該処分で自己の権利、もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害される恐れのある者」に原告適格が認められると定式化している。

 国交相裁決は、県の埋め立て承認撤回の効力を失わせるものであり、その法的効果が県(原告)に及んでいることは明らかであり、県の原告適格は認められる。公有水面埋立法に基づく埋め立て免許・承認は都道府県の事務であり、知事が判断するものであることから、この訴訟は自治権侵害に対するものとしても認められる。

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