社説

社説[かんぽ不正拡大]体質の徹底的見直しを

2019年8月10日 12:06

 かんぽ生命保険の不正販売は拡大するばかりだ。

 日本郵政とかんぽ生命、日本郵便の3社長がそろって記者会見し、顧客が不利益になった恐れがある契約が過去5年に18万3千件あったと発表した。これまでに判明していた9万件超から倍増した。

 約3千万件の全保険契約が顧客の意向に沿っていたかも調査する。さらに被害が広がるかもしれない。

 不正販売の被害者は身近な郵便局員を信頼して契約したお年寄りが多いとみられる。あるまじき悪質な行為で、憤りを禁じ得ない。

 かんぽ生命は日本郵便に販売を委託、全国に2万を超える郵便局が販売し、手数料を受け取る仕組みである。

 不正の背景には郵便局員に課した厳しい営業ノルマがある。かんぽ生命の保険商品販売で郵便局員に目標額が設定され、給与にも反映させる。

 成績が悪いと研修などでどう喝を受けることもあったといい、顧客の意向に沿わない契約を結ばせる動機になったとみられている。

 不正販売の主な手口はこうだ。顧客が新たな保険に入っても古い保険を解約せず、両方を併存させて保険料を二重払いさせる。古い契約をすぐに解約すると、契約を乗り換えただけで手当は半分しかもらえないからだ。

 これとは別に古い保険の解約後、新たな契約まで一定の空白期間を設ける。そうすれば新契約とみなされ、手当が満額得られるからだ。だが無保険の期間が生じることになり、契約者にとって保険が受けられない。重大な問題だ。

 不利益を被った契約者に対して一日も早く、救済措置を講じなければならない。

    ■    ■

 日本郵政グループはコンプライアンス(法令順守)とガバナンス(企業統治)に欠けているというほかない。

 日本郵便にとってかんぽ生命などからの手数料収入は低採算の郵便事業を補う命綱である。2019年3月期の手数料収入は計9500億円に上った。かんぽ生命などが屋台骨を支えているのだ。超低金利の中で保険商品の売れ行きは芳しくない。ノルマが厳しくなり、不正販売に手を染める構造的問題がある。

 かんぽ生命と日本郵便は、19年度の営業目標を廃止。20年度以降は顧客本位の目標設定に改めるという。

 廃止するのは当然だが、責任は現場にあるといわんばかりでないか。あいまいな目標では失墜した信頼を回復することは容易でないだろう。

    ■    ■

 政府は保有する日本郵政株を今秋にも売り出し、1兆円超を調達する計画だった。売却収入は東日本大震災の復興財源に充てる考えだが、悪影響が出る可能性がある。

 経営責任が問われる事態である。だが、会見に臨んだ日本郵政の長門正貢社長は自身を含む3社長に関し「陣頭指揮を執ってまい進する」と引責辞任を否定した。

 危機感が感じられないのである。不正販売の責任の所在はどこにあるのか。それを明確にした上で、経営体質を徹底的に改めるためにも経営トップの人事を刷新し、出直すしかない。

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