困窮世帯の子どもの健康リスクが、くっきりと浮かび上がった。

 東京大のチームが生活保護受給世帯の子どもの健康状態を調査したところ、ぜんそくなどの割合が一般世帯の子の10倍を超えたことが明らかになった。

 健康は環境と密接な関係にあるといわれているが、それにしても驚くほど大きな開きである。

 調査によると、受給世帯でぜんそくにかかっていた子は年齢、性別にかかわらず20~31%と多く、一般の10倍以上だった。虫歯や歯肉炎など歯の病気、アレルギー性鼻炎も10倍以上の差があった。格差が比較的小さいアトピー性皮膚炎でも5倍程度の開きがみられた。

 食事の栄養バランスや居住環境の問題、生活上のストレスなどが複合的に絡み合っているのだろう。仕事と生活に追われ子どもと向き合う時間がなかったり、身近に相談する相手がいないなど親の孤立も指摘される。

 特に病気のある子の割合が大きかったひとり親世帯は、孤独な子育てを強いられているのではないか。

 昨年成立した改正生活保護法には、受給者に対する健康管理支援が盛り込まれている。だが中心は大人の生活習慣病対策で、子どもへの視点は薄い。

 幼少期の健康不安は将来の発達に影響を与える恐れがあるだけに、病気や栄養不足といった格差を放置することは許されない。

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 困窮家庭の健康リスクは、適切な医療を受けられないリスクともつながっている。

 県が6月に公表した小中学生調査の保護者アンケートで、子どもを病院に連れて行くことをためらう「受診抑制」が困窮層で3割を超えた。

 受診抑制の理由で「忙しくて時間がなかった」の次に多かったのが「自己負担金を支払うことができない」だった。

 子ども医療費助成制度は徐々に拡大の動きにある。県は昨年、小学校に入学する前の未就学児を対象に医療費の「現物給付」(窓口無料化)に踏み切った。手元に現金がなくても病院へ駆け込める現物給付は、医療を公平に受ける権利にもつながる重要な施策だ。

 ただ対象が未就学児に限られることから、受診抑制に対する効果は部分的である。先行的に取り組む自治体もあるが、県が旗を振って全市町村で中学卒業まで範囲を広げるなどさらなる拡大が必要だ。

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 先の通常国会で成立した改正子どもの貧困対策推進法は、貧困対策に関する計画づくりを市町村にも広げることを柱としている。

 貧困にあえぐ人たちの中には地域や行政とつながることが苦手で「助けて」と言えない人が多い。昨今の自助努力や自己責任論がそれに拍車をかける。

 たとえ生活が困難であっても「子ども食堂」など社会と接点を持つことで健康格差は緩和できるといわれている。

 住民により近い市町村には、親子に具体的な支援を届ける一歩も二歩も踏み込んだ対策を求めたい。